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「いてて、悪ぃ……急で反応できなかった…」
上に倒れそうなのをすんででなんとか己の身体を支えた切島はそれでも押し倒すことになってしまったシンの安否を確かめようと視線をそちらに向ける。
するとその視線の先、掴んでいたので捲ってしまい顕になった背中には似つかわしくない薔薇のタトゥーが刻まれていた。驚きに目を丸くする
「シン、それ……」
「っ!!!どけっ……!!!」
「どぅわっ!」
今まで聞いたこともない大きな声で切島を押し退け、シンは壁際に逃げる。その瞳には涙が滲んでおりどこか震えていた
「シンく、……」
「うるさい!!もううんざりだっ!」
「っ!」
緑谷の言葉も聞く気はないと遮りそう叫ぶ。今まで見た事もないシンの激情、初めて見せてくれた感情が怒りだとは…一同困惑する
「どうした、大きな声出し、て……シン?」
「何があったのだ?喧嘩か?」
遅れて尾白や飯田がホカホカの身体で歩いてくるのが見える。異様な光景に足を止めると尾白の視界に泣いているシンがみえる
「シンどうした、……」
「っ……!僕に、これ以上構うなっ!!迷惑なんだよっ!!」
ダッー
そう残し、誰の言葉も聞き入れないまま、シンはその場から姿を消した。残された面々はどうしていいか分からず、倒され座り込んだ切島はその場から動けずにいた
「何が、一体どうしたんだ……なんでシンくんはあんなに激怒していたのだ?」
みなを代弁して飯田がおずおずと話し出す。障子常闇はもちろん上鳴もどう言ったらいいか分からずにいた
「…俺が、無理矢理風呂に誘ったんだ……そしたら押し倒しちまって…すまん!」
そう勢いよくその場で頭を下げる。久々にみる彼の土下座にあわあわと慌て始める。緑谷も何やら弁解するように話し出すし上鳴も悪ノリしたと謝る始末で何が何だかぐちゃぐちゃになる
「あーもー一旦ストップ!おちつけ!」
どーどーとそこに瀬呂が割り込み馬をあやす様に3人を落ち着ける
「ひとまず緑谷は服を着ろ。湯冷めすんだろ。切島も上鳴もなんとなく想像はつくけど一旦落ち着け」
「瀬呂ぉ……」
「泣くな、漢だろーが…あーもう!ひとまず大部屋集合!いいな」
そう仕切ってこの場を収め泣きべそかいてる2人の背を押し大部屋に向かう。緑谷はひとまず着替えるべく風呂場の方に走り出し、轟は付き添いについていった
「…チッ」
爆豪は一人、大部屋の方へ歩き始める
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作者名:みけいぬこ | 作成日時:2022年2月24日 16時