【ヒロアカ】荊棘の少年4 (ページ17)

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きっと1Aの誰かがそれを見ていたら言うだろう

"それは君のせいじゃない"と

だけど、その当時

シンの周りにそんな言葉を言ってくれる人はいなかった

教わったのは

シンがその言葉を言うと罪のない誰かが死ぬということ

それは幼かったシンにとってみえない鎖となって

ずっと彼を縛っている

ザー…

お湯を浴びているのに

身体の芯が冷えているように感じる

なぜ今これを思い出しているのだろう

分からないけど、これは無意識の警告なのだろうか

あの言葉を言ったら誰かがまた死ぬという…

「僕が、平和の象徴(罪のない人)を殺すのに…」

ははっ、と乾いた笑いが水音に消えていった

「あ、やっと上がってきた」

「…」

シャワーを浴びて用意されていた着替えをきて元いた場所に戻ればマンダレイが待っていたようでぱっと人のいい笑顔を向けてくる
水気の残る髪をタオルで拭きながら視線を外す

それを気にする素振りを見せず彼女は一旦奥の部屋に入るとすぐに何かをもって戻ってきた
ちらと彼女を見れば口が開き何か話しはじめる

「みんな今日は肉じゃが作ってるんだけど、君食欲ある？」

「…」

「まぁ、あっても多分胃に良くないよね」

すごい吐いてたしと苦笑いする
そう言って彼女はことり、とテーブルにりんごの乗った皿を置いた

「本当は無理にでも食べろって言いたいけど体調崩しすぎるのもあれだからこれだけは食べて」

「…いらな」

「それは許しません。昨日も吐いてるでしょ？脱水してるだろうしなにより体力的に持たない。無理に食べさせないんだからこれくらいは食べて。…毒とか入ってないから」

といいながらリンゴをひとつ手でつかみパクリと食べてみせる。程よい咀嚼音を奏でその場で食べてみせるマンダレイをじっとみる

「学校でもあんまり食べないんでしょ…聞いてるよ。食生活の合う合わないとか馴染みきれてない所もあるだろうけどヒーローの資本は己の身体！大事にしなさい！」

全部食べたら食堂来てね、夜は肝試しだから

そう言ってマンダレイは部屋を出ていった

パタンと扉が閉じられ当たりが静寂に包まれる

「…」

気配が離れていくのを感じそっとテーブルに向かい椅子に腰掛ける。途端押し寄せてくる倦怠感になかなかに疲れてるなと思いつつ、正面のリンゴをみやる

毒は入っていない

彼女はそう言った

そう、言ってくれた……

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