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ザー……
「…」
1人、シャワールームでお湯を被る
色々べとべとだったシンにとってこの時間はいささか気持ちの良いものであった。普段はこんなにゆっくりお湯を被ることはない…正直な話、水関係はトラウマだ。苦しい記憶が多く、湯船なんて浸かる気にもならない
教科訓練中に限界を迎え倒れてしまった、記憶は朧気だが、相澤に運ばれたような気がする…気がついたらベットの上だったので定かではないが。診ていてくれていたのであろうマンダレイに食事の前にシャワー浴びておいでと言われ今に至る
個性の発動を切り無音の空間
シンは頭が働かなかった、ぼーっと排水口に流れる水の渦を眺める
エ ネルギー不足により脳が働いておらず
度重なるトラブルに心もすり減り
限界に近かった
気を失う前も思った
自分は何を、しているのだろう
なぜ、ここにいるのだろう
答えのでない疑問が延々とループする
こういう時、普通なら言う言葉があるのだろう
しかし、シンは恐ろしくて言えない
いつだったかも忘れた昔
一度、シンはブルーローズの自分の居場所…真っ暗闇のあの部屋から逃げ出そうとしたことがある
絶え間ない苦痛を強いられ続け束の間の1人の時
あの日は
それに気がついたシンは迷いなく飛び出し走った
ここから出たい、その一心で外の扉を探し
夜の街を駆けた
裸足でボロボロの服で右も左もわからない街をひたすらに
夜遅いからか灯りはポツポツあるものの人の姿はない
それでもひたすらに走った
「…？……！What's happen?!」
仕事帰りだろうか、綺麗なスーツを着こなした男性に出会えた
話してる言葉は理解できないかったが
自分をみつけ慌ててこちらにかけてきてくれた
優しく肩に触れ何かを言っている
あたたかくて涙が出た
だから、言おうとしたんだ……
伝わらなくても
「はぁ、はぁ…お願っい……たすけ……っ」
ジャラ…
「！！What's...!No……！」
「！！」
それは一瞬の出来事だった
「探したよ、シン」
「あ…あ……、っ……」
目の前の男性の首に見覚えのある鎖が巻き付き、そのまま宙に浮かんだ
そして耳元で聞こえる
優しい声
苦しみもがく声がゆっくり消えていった
その日、僕ははじめて人を殺した
．
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2022年2月24日 16時
