【ヒロアカ】荊棘の少年4 (ページ15)

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『おいっ、しっかりしろ！シン』

「ふふふ」

画面越しに必死にこちらを向いて叫ぶ男の姿
余程心配のようでその表情は強ばっておりしきりに、汗を拭って頬を撫ぜる…その手つきは優しい

「触るなよ、それは…僕のだ」

相澤消太

そう、呟くヴィクトリアの目は射殺さんという程に画面に移る彼を睨みつけており、持っているグラスがギチギチ苦しそうに鳴く

画面が空を写し流れていくことから、移動したのだろう事がわかる

「可哀想なシン、ほんっとうにもうボロボロだね」

心も身体もボロボロ
それが彼には手に取るようにわかった

簡単にシンに干渉ができたから
個性の嘘を見抜かれたのは計算外だったけど、シンは本当の事を言わなかった。そこも愛おしかった。必死に約束を守ろうと嘘を並べる彼が愛おしくて愛おしくて堪らなかった

おかげでヒーローとの間に亀裂が生じた
シンはあのヒーロー-相澤消太-を信用しようとしていた

それを、ヒーローから手放してくれたようなものだった

「…そろそろ潮時かな」

恐らく、シンの事を探っている
あの学校から日本の警察からの探りがあったと連絡があった…マリックとマドカも隠れ蓑にしてる会社からコンタクトがあったと先程連絡を受けてる、だいぶ怪しまれてるようだ

「シンはほんとに悪い子だなぁ」

僕以外の人間まで虜にしていくんだから
シンがいかに特別な存在かという証拠でもあるだろうが、いかんせんヴィクトリアは許せないと思った。なぜなら、シンは本当に自分のものだからだ

今シンに触れている相澤消太も

押し倒した切島鋭児郎も

近づこうとする爆豪勝己も

みんなみんな、許すわけにはいかない

「…そうだ、シンにやらせてあげよう」

名案だと言うように、ヴィクトリアは閃いた
オールマイトを殺したその後に、残りの奴らもシンの手で始末させようと

そうすればもうシンを奪おうとするやつがいなくなるし

シン自身も僕しかいないってわかるから一石二鳥だよね

画面がややぼけて見える

雨でも降ってきたのかな、とヴィクトリアは思う

「あー、楽しみだなぁ」

それまでしばらく、
このヒーローごっこを楽しもうか、と
ワインを一口飲み込んだ

＿＿＿＿…

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