【ヒロアカ】荊棘の少年4 (ページ14)

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「うぇ……はぁはぁ……う"……っ！」

もう何回目になるだろうか…

昨日の途中から本来の個性を発動させその強化訓練という名のかくれんぼを延々とやらされている。
嘘をついたのはこちらなので仕方ないのだが、このかくれんぼをいくらやったって自分の個性は特に強化されるわけではない

土塊を見つけるのなんて造作もない
気配を察知すればいいだけの話だ

ただ……

＿＿キチィィィ！早く終わってくれー！

「う……っ！」

止まない周りの心の声のせいで頭痛が鳴り止まず情報量の多さに脳が揺れそれが気持ち悪く何度も嘔吐を繰り返す

「はぁはぁ……はぁ…」

初日の夜は吐き戻した

次の日の朝も気まずさを理由に食堂に行かなかった

夜は…完全にダウンしていて何も食べていない

朝は無理矢理食べたけどもう既に吐き出してしまった

「(吐き出すものがなさすぎて、喉が痛い…)」

普段から食べるわけではないが、食べなさすぎと吐きすぎで別の気持ち悪さが身体を巡る。それが吐き気を催しての無限ループ、頭痛も治まらないし今すぐ個性の発動を切りたい…でも、いつ相澤が戻ってくるか分からない

「(僕は、何を…しているんだろう)」

ここがどこか、わからなくなる

雄英高校の強化合宿で森の中なのか

いつものあの部屋なのか

目の前がチカチカするようで

何も見えない真っ暗闇のような気もする

＿＿立派なヒーローになってほしいから

ふと、そんな言葉がきこえる

「(ヒーロー……)」

ヒーローになりたいの、だろうか……

＿＿誰かを引っ張っていけるヒーローに

「(無理、だよ……)」

ヒーローに、なれるわけなんてない

だって、僕は…

＿＿＿＿シンは僕のかわいい人形

そう、僕は人形……

『可哀想に、ヒーローにいじめられて…これじゃああの部屋にいた頃となんも変わらないね』

「！！」

『どこにいたって、君は変わらない…君の存在価値は人形であることだけ、だよ…』

ボスの声だけがハッキリと聞こえる
これは幻聴？それとも……

「や、め……」

『嘘をついた君を、守ってくれる人なんて』

＿＿もう、いないよ…？

「！！はぁっ、はあ……はぁはぁ」

「！！シン」

誰かが僕を呼ぶ声がする

「おいっ、しっかりしろ！シン」

でも、もう聞こえない