【ヒロアカ】僕の世界の美しさを知る6 (ページ5)

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この作戦が決行される前の日の夜

Aは久しぶりに親子水入らずの時間を過ごした

相変わらず忙しそうではあるが疲弊してる素振りを出さない父は

その表情を緩め朗らかな笑顔でAを出迎えてくれた

ここが安心できる場所だとAは自然と同じように緩む頬をそのままに塚内に抱きついた

体調を心配してくれる声に大丈夫だと言葉を交わし、しばし親子の時間を楽しんだ

＿＿Aには群訝山荘側のフォローをお願いしたい。エッジショットやミッドナイトの指示に従って

＿＿大丈夫、ヴィクトリアは必ず取り押さえるから

「(父さん…)」

キィンと個性を発動した時の独特な耳鳴りを感じつつ、Aはヘッドホン
外す

今日までの間に個性と向き合い、それが無遠慮に自身を侵す狂気では無い事をAは理解した
それを使いこなすのもどう使うかもその個性を持つ自分次第なのだと

「(…あいつの言葉なんて思い出すな…僕は"塚内A"だ)」

周りの喧騒とは違う切迫した無秩序な激流が近づく気配がする
それを一挙に受け入れれば自身が堪えられなくなるからチューニングを合わせるように言葉の通り道を萎めていく

『会議は中止だ！議事堂に伝達！』

一人の男の声が一際大きく聞こえる
その男の思考は高速に動き、この攻撃がヒーローのものでありそれがホークスの手引きである事まで確信を持っているようだった

「…議事堂、隠し通路が複数あります。リ・デストロはそっちにいるようです」

「うぇ！？Aもうやってんの…てか順応はやくないっ！？」

「承知した、一部隠し通路捜索に振り分ける！」

先陣切ってセメントスが開演の狼煙をあげ、豪快に目の前の地面が割れていく

一斉に駆け出しそれぞれが戦闘に意気込む中エッジショットはAの言葉を受けて細かく指示を出していく

張り詰めていた緊張が膨張しそこここで爆発が起き、火花を散らす

「一人たりとも逃がすな！彼らは訓練されている！全員が目的成就に命をかける！」

鼓舞するために叫ぶエッジショットの言葉に闘志を奮い立たせ攻め込むヒーロー達

＿＿＿怖いッ…

「！(上鳴……)」

けれどもその中に心細げに震える声をAは聞く

すぐ近くを走る上鳴の顔は引き攣り、見えはしないがB組の小森の震える声もAには届く

「(大丈夫……大丈夫だよ)」

Aはそう心の中で呟く

ここは戦いの場

だけど、一人ではないことを、その心強さを

全ての大切な人に届けと願う

．