【ヒロアカ】僕の世界の美しさを知る6 (ページ2)

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静かな始まりページ2

「何故、その男だと？」

錚々たるメンバーが集められた室内に、一際強い覇気を持つエンデヴァーが言葉を紡ぐ
つい今しがた、警察サイドの指揮のトップに座する塚内からとある人物の説明を受けたばかりだった

殼木球大

蛇腔総合病院創設者にして、現理事長
個性に根ざした地域医療を掲げ、設立後すぐ慈善事業に精を出し始め、全国各地に児童養護施設や介護施設の開設、個人病院との提携気まぐれにも見える沿革は掲げた通り地域に根ざし人々からの信頼を得ていた

そんなクリーンそうな男ではあるが、塚内らはその男の傍に寄り添う小さな脳無の存在を確認したのだ
それは霊安室からのみ通行可能な隠し空間であり慈善事業を手がけるにしては物騒な現実であった

エンデヴァーの問いかけには公安からの情報提供を受け潜入捜査をしたと端的に伝え、これから行う掃討作戦は極めて繊細でかつ失敗の許されない大舞台である。この場の空気は酷く緊迫しピンと張りつめている

「数多ある病院から蛇腔を突き止めたのもアイツ(・・・)か？それにしては手広過ぎると思うが」

「……」

警察とはいえ一介の市民ににじり寄るには些か圧の強いエンデヴァー

その探るような瞳を塚内は真正面から黙って見つめ返した

エンデヴァーが何を聞き出したいのかはなんとなく想像ができる

そして、それとは別にこの情報の信憑性を問うているのだ

「……一応機密なんでアイツが誰を指してるのか知りませんが…病院を特定した情報源の一つは私です」

「……」

ヒーローである味方の中に裏切り者が存在した

誰も彼もを疑いたくないが混沌が侵蝕しつつある今において誰を、何を信じるかは非常に重要だ
圧倒的No.1が退いた今、個々の力は今まで以上に価値あるものであるしだからこそそれらが欠けること、敵に奪われることは回避していかなければならない

敵の術中とも知らず偽りの情報に踊らされ愚策を講じて敗北などあってはならないのだから

「…殼木の提携する病院のひとつに海外のものがありました。新規開拓の一環なのでしょうが、その病院はAが通っていたアメリカの病院でした」

「A…あぁ、神野の時のか」

「はい、今は私の養子です。ブルーローズマフィアとの繋がりを辿ってる最中にその痕跡を見つけました。表向きは精神疾患等の治療に関する技術協力という事になってましたが、脳無研究の海外拠点と思われます」

それは、日本国内でいきがってるだけと思っていた敵連合が海外にまで手を伸ばしてるという脅威ともとれるし、いざと言う時の逃亡ルートとも取れる

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