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『ォ前、Aに何かしたラ…絞める』
「……ぬいぐるみは街中で喋んな。祓っちまうぞ」
五条がAと手を繋いで歩きたいと駄々をこねるから、恵は仕方なく呪骸であるピーティを片手で小脇に挟んで歩く。本当ならこんな一通りの多い場所で真昼間からぬいぐるみをもって歩きたくない
今日はゴールデンウィークでもあるから余計に人の通りが多い。道行く人が五条の異様さ(長身白髪イケメン風、なのに目元を包帯で覆ってるプラス幼子を連れている)に振り返り道を開けていく
「Aクレープ食べる?原宿では有名らしいよ」
「くれーぷ?」
「バナナといちごはどっちが好き?」
「バナナ」
「すいませぇーん!バナナチョコカスタードひとつください!」
店員が作る様子を抱き抱えてAに見せ、僅かに感嘆の声をもらすAにデレデレする様子は恵が今まで見てきた五条と違いすぎて
『キモイな、あいつ』
「…そうだな」
思わずピーティの言葉に同意してしまった
「恵は?何かいる?」
「いりません」
「そんな、厨二の反抗期だからって遠慮しなくていいんだよ?ミルクティーも売ってるよ?」
「いりません!それに俺は厨二じゃなくて中2ですから!」
「あ、ごめぇん。上級生シメて学校のボスになりたかったみたいだからてっきりそうなのかと」
『マジか。やるな』
「あれはあっちが突っかかってきたからって言いましたよねっ!!お前は喋んなって言ってんだろ!」
休み前の騒動で保護者替わりの五条を呼び出す羽目になってしまったのは恵の落ち度であった。あんなに大事になると思わなかったし、代理で五条が来るのも予想外だったのだ(夜蛾辺りが来ると思っていた)
そのおかげで、担任の女教師は五条の外見に惑わされて使い物にならなかったし、五条は五条でそれで面倒事を全て不問にさせてそれをネタにちょくちょく恵を揶揄ってくるのだから性根が腐ってると恵は思ってる
「ほら、A。どうぞ」
「ありがとう、五条」
だけど、目の前の光景は性根が腐っているどころかとても面倒見のいい優しい父親のような風景だった
「あまい、白いのあまい」
「生クリームだね。この前の誕生日ケーキと同じやつだよ」
「今日誕生日ちがうよ?」
「いつでも食べていいんだよ。生クリームは」
どこにでもありそうな平和な光景が目の前にはあった
だけど、少し普通とはちがうそれ
「(……Aの呪力が、増してる…)」
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みけいぬこ(プロフ) - バナナプリンさん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただけて嬉しいです。また読みにきていただけたら更に嬉しいです(∗ˊ꒵ˋ∗) (1月22日 7時) (レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
バナナプリン - めっちゃ好きです!!設定とか物語すごく凝っててすごいですね!!これからどうなっていくのかすごい楽しみです!!🍌🍮 (1月21日 0時) (レス) @page10 id: 2d27e83292 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みけいぬこ | 作成日時:2024年1月19日 10時