2016.5 ページ48
「ごめんね、A。お花見連れていけなくて」
「？…大丈夫」
「春は学校行事が多くてさ。ピカピカの1年生達はそんなことないんだけど。この季節にはそこでの思い出を思い出す人が増えるから呪いが湯水のように湧くんだよね…」
「？？」
『呪い、A危険。寄るナ』
「…言っとくけど危険なの僕よりお前だからな」
『A守るノ、お前違う』
「違くありませーん！」
「…ちょっと、五条さん」
ピーティと幼稚な言い合いをしてる五条に背後から呆れを滲ませた声が聞こえる。幼さの残るその声はどこか戸惑いも混じっていて、その視線はずっとAを写していた
「何恵」
「何って…休みの日にこんなとこ連れて来といて説明くらいくださいよ。それにその子供…」
恵と呼ばれたその少年は、Aと同じ黒髪で鋭い瞳をAに向け続けるものだからピーティがそれに警戒して蔓を伸ばして威嚇する
「こらこら2人ともやめなさい。喧嘩しない」
『こいツ、Aをいやらしい目デ見た』
「え、そうなの恵？！いくら恵でもAはあげないよ！」
「何の話ですか。そんな事よりその子供、その呪力は何ですか…」
Aには、恵のその瞳に見覚えがあった
こちらを恐れる瞳だ
しばらく感じることない平穏な日々だったから忘れかけていた
隣で"化け物"が追いかけて
その人は背を向けて、きっとその後地面に倒れてもう、起きてこない
「…やめて、ピーティ。ぼくはうれしくない…いかないで」
『Aがそう言ゥなら何もシナい』
「うん、何もしないで…ごめんなさい。なにもしません」
「え、……いや…」
何も映さないような冷たい赤い瞳
虚空を眺めるだけのようなそれに恵はバツが悪そうに俯いた
何も分かってはいないのだが、自分があまりよくないことをした自覚はあったから
「Aも恵もそんな顔しない！これから皆で出かけるんだから！」
「痛ッ…そもそもあんたがちゃんと説明くれてれば……」
「ただの子供だよ。少し天から好かれてしまっただけの……そして僕の愛おしいAだよ！ねー！」
『Aに触るな！汚レる』
いつもの掴みどころのない様子で、今までみたことない優しい表情でAをその胸に抱きしめ幸せそうにする五条
肌を少し刺すような呪力をもつそのただの子供というAは、さっきの虚空の瞳から少し安堵を滲ませる瞳で五条を見つめていた
「きょうは、どこいくの？」
「代々木公園！」
無表情のその中に、見えるその色に
恵は感じるものの差異にただ困惑した
．
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みけいぬこ(プロフ) - バナナプリンさん» コメントありがとうございます！楽しみにしていただけて嬉しいです。また読みにきていただけたら更に嬉しいです(∗ˊ꒵ˋ∗) (1月22日 7時) (
レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
バナナプリン - めっちゃ好きです！！設定とか物語すごく凝っててすごいですね！！これからどうなっていくのかすごい楽しみです！！🍌🍮 (1月21日 0時) (レス) @page10 id: 2d27e83292 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2024年1月19日 10時
