2015.12.31 ページ41
「ほんと、性格悪いよな……あのクソじじい共は」
息が白む夜更け
五条は目元を白い包帯で隠し急ぎ足で帰路に着く
もうすぐ日付も変わろうというのに道にはちらほら人の姿があり、チラチラと視線を感じるも特に気にすること無くその足をひたすらに動かした
「当然……A寝てるよなぁ」
クリスマスにAを外に出して遊び歩いたから、上から嫌がらせのような任務の量を押しつけられた。北は北海道南は沖縄まで遠慮も何もないそれは、流石の五条でも一々家に帰っていては間に合わなくなると泣く泣く泊まり込みの出張任務の日々を余儀なくされた
「あぁ〜Aが不足してる……Aに会いたい死にそうやっば、家の前まで瞬間移動しよう」
高専に任務完遂の報告とそれほどまでに溜め込んでいた危険を優しくお淑やかに(※五条視点)オブラートに包んで話して聞かせ、蝿を払うように退出を命じられたので急いで帰っている所だった
なんで、術式使って帰らなかったのだと後悔しつつ思い立ったが吉日と瞬時に賃貸マンション(※高級地帯)の玄関前に辿り着く
ここは、傍目から見たら何の変哲もないオートロックコンシェルジュ付きのマンションだ
万が一ここに非術師、呪力登録のしていない術師が侵入しても普通の2LDKの部屋が広がってるだけ
「ただいまー、Aー寝て、……」
いつもならば七海か夜蛾が寝かせに来てくれてるはずで、時間感覚のないAにとって“夜更かし“の概念はない
寝ろと言われたら寝るし、起きろと言われれば起きる
ある意味正確な体内時計とも言えるが、ただ一人長い時の中をそこに在り続けただけのAにとって、寝ることも起きていることも苦ではないのだろう
それを拒む理由がない、そう思っていたのに
ぽふっと正面から何かがぶつかって背中に何かが回る
弱い力でぎゅうぎゅうと締め付けてくるそれに
五条は包帯で見えない瞳を驚きに見開いた
「……A?」
そっと手を伸ばして触れればあたたかく、柔らかい髪からはシャンプーの香りがした
「五条、おそいよ」
ぽつりと呟かれた言葉には不満と不安が混じっていて見上げてきた赤は少し寂しげにみえた
Aを知らない人間から見たら、相変わらずの無表情だろう
それでも五条には手に取るように分かる
「A、……寂しかったの?」
言葉にすれば、その意味を理解してるのかぎゅっと背中に回ったもみじに力が入った
その健気さに五条の胸にトスッと矢が刺さった
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みけいぬこ(プロフ) - バナナプリンさん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただけて嬉しいです。また読みにきていただけたら更に嬉しいです(∗ˊ꒵ˋ∗) (1月22日 7時) (レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
バナナプリン - めっちゃ好きです!!設定とか物語すごく凝っててすごいですね!!これからどうなっていくのかすごい楽しみです!!🍌🍮 (1月21日 0時) (レス) @page10 id: 2d27e83292 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みけいぬこ | 作成日時:2024年1月19日 10時