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とくんとくんと胸の奥がノックする
誰かいるのだろうかと思うけどそれは分からない
「五条は?五条の瞳は?」
「ん?」
サングラス
その奥にある瞳はいつも綺麗だと思っていた
自身の瞳が赤ならば、五条の瞳はなんと言うのだろう
「これだね、青」
「あお…」
示されたライトを見やると色濃い青がそこにあり何故か違うと首を傾げた
こんなに暗くはないと思う。そう思ってAはキョロキョロと辺りを見回した
「……!五条はあっち」
「ん?」
Aが指さす先は海月が漂う水槽だった
揺れる半透明の海月の海が淡く水色の光を放つ
「こっちの方が綺麗」
「…僕の瞳綺麗ってこと?A」
サングラスを少しずらして五条はAの顔を覗き込んだ
Aの視界いっぱいに五条の顔があって、暗闇でもキラキラと輝く“青“がそこにあった
「うん、綺麗…五条は綺麗」
「Aも僕から見れば綺麗だよ」
水槽を照らすライトが色を変え水色から淡い紫へと色を変える
そのどこか妖艶ででも美しい色に、それに照らされる美形の2人を横目に見ていた人達は小さく感嘆の声を漏らす
どういった関係なのか、仲睦まじい親子なのか色々な憶測が飛び交うが中の良さそうな光景に皆釘付けになっていた
「もっと色んな色を見に行こうか、あと魚も。外でイルカショーやってるからそれも見よう」
「イルカ?」
「見ればわかるよ」
どこか高揚しているAの声に五条は嬉しくなって軽くなる足取りのままに進む
表情こそ余り変わらないが楽しんでいるのが分かる
この外出によって呪力を感知できる者たちからしたら突如現れた呪力の固まり(=A)にさぞ驚いていることだろう
細かいことは夜蛾に任せてある(※全て押し付けてきた)
今日一日、誰にも邪魔されなければそれでいいのだ
今日一日何も起こらず、平穏に過ごせたなら
Aが外界に出ても問題ないという前例を生み出すことができる
真っ暗な世界以外を、Aに伝えられるようになる
「すごい、あんな高いところ…!」
「すごいねー、水飛沫も尋常じゃない」
水中から飛び上がり5mくらい上に吊るされたボールを尾びれでタッチしたイルカはそのまま水中にダイブして観客に歓声と水飛沫を齎した
前列の観客はこの寒空の中びっしょり濡れ、後席に居た観客たちも大なり小なり水がかかっていた
ただ無下限呪術を発動している五条の周りだけは一滴も水の飛沫はかからずその光景に一部の観客は神の子らなのかと驚愕した
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みけいぬこ(プロフ) - バナナプリンさん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただけて嬉しいです。また読みにきていただけたら更に嬉しいです(∗ˊ꒵ˋ∗) (1月22日 7時) (レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
バナナプリン - めっちゃ好きです!!設定とか物語すごく凝っててすごいですね!!これからどうなっていくのかすごい楽しみです!!🍌🍮 (1月21日 0時) (レス) @page10 id: 2d27e83292 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みけいぬこ | 作成日時:2024年1月19日 10時