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「かわいー、」
「てかパパイケメンすぎ…やば」
「モデルか?」
大森海岸駅のお昼過ぎ
駅の改札辺りから道行く人がちらりちらりと視線を向ける
白髪にサングラス
アースカラーのミリタリーコートを着こなし長い脚で颯爽と歩く男が1人
その男が腕に抱いているのは、同じアースカラーのダッフルコート、白いモコモコのネコ耳ニット帽を被った赤い瞳が印象的な少年
ただ歩いてるだけでも感じるオーラに自然と人波は開け彼らが歩く道は綺麗に開けられていた
「A、見てごらん。あれが水族館だよ」
そんな周り気にも留めず五条は見える看板を指さしうきうきと声を上げる
指さす先が眩しくてAは目が開けられなかった
初めて感じる刺激に目がヒリヒリするとニットの手袋に包まれた手で目元を隠す
肌にあたる暖かい何かは目を潜めても何も見えなくて
でもとても心地よく感じる
目に入るもの全てが眩しくてチカチカするけれど嫌ではなかった
「クリスマスイルミネーションやってるし、程よい暗さだからAの目にも優しいよ」
「イルミネーション?」
「そ。Aに“色“を教えてあげる」
聞き慣れないその言葉
だけど、トクンと胸の奥が鳴った気がした
そっと指をずらして見える世界は
眩しくてキラキラしてて少し痛い
でももっと見ていたいと思った
少し進んだ先に見えた建物の中は薄暗くていつもの場所と似ていて少し安心した
そして目に入ったものにヒュっと喉が音を立てた
「しながわ水族館へようこそ、A」
透明なガラスの中を揺蕩う魚達
暗闇の世界に丸くそして淡く光を放つそれらは
よく見たら一つ一つ違った
「五条、あれは」
「あれは緑」
「あっちは」
「黄色」
「あれは?」
「赤、Aの瞳と同じ色だね」
水槽の中ではサンタの衣装を着た飼育員が魚達に餌をあげて人々の注目を浴びているけれど、Aはそっちのけで彩られた天井照明に食い入るように一つ一つ指さして五条に名前を聞いていた
「あれも、赤?」
「似てるけどこれはピンク。赤と白を混ぜるんだよ」
「混ぜる…?どうやって?」
「見てて」
手に取れる赤と白のライトを近づけ、床に反射する光をAに見せる
そこには色が混ざり淡いピンク色が映っていた
「!…」
「色は一色でも綺麗だけど混ざっても綺麗なんだよね。なんかいいよね」
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みけいぬこ(プロフ) - バナナプリンさん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただけて嬉しいです。また読みにきていただけたら更に嬉しいです(∗ˊ꒵ˋ∗) (1月22日 7時) (レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
バナナプリン - めっちゃ好きです!!設定とか物語すごく凝っててすごいですね!!これからどうなっていくのかすごい楽しみです!!🍌🍮 (1月21日 0時) (レス) @page10 id: 2d27e83292 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みけいぬこ | 作成日時:2024年1月19日 10時