2015.11.25 ページ31
「身長は…110.3cm」
「…」
強固結界の空間に、Aにとっては見慣れない器具と久しぶりに会う硝子
五条くらいはある長身の何かを見上げ先程まで頭についていた突起をぼんやり眺める
「次体重ね、Aこっち乗って」
そう言われてAは黙って言われた物にのる。少し足の裏がひんやりしたけれど特に何かがあったわけではなかった
硝子は足元を覗き見て持ってる紙に何かを書き記して次と今度はまた別の物の前に案内された
＿＿…
「Aの発育の速度はあんまりいいとは言えないね」
「だよなー」
その日の夜、五条はAを寝かせてからそっと結界領域内を抜けて硝子の常駐している地下に来ていた。そこは殺風景で無機質な寝台と机があるだけの場所で、そこで何人も事切れた仲間達を見送ってきた場所だ
それを前にして硝子と五条は缶ビールのプルタブを空け中の液体を喉奥に流し込む
「保護した当初よりは身長も体重も伸びてるし増えてるけど、標準値に全然足りてない。伸びざかりは人によって違うけどまぁ、環境が環境だから」
「食事と睡眠は問題ない」
「問題なのは適度な運動ができない事と、日光を浴びれていない事」
強固結界空間は外界の一切を遮断する
それは浮遊する呪力からAを守るためなのだが、電気水道ガスといったものから人、熱、光全てを遮断している
唯一強固結界空間内では術式によって空気のみを通す様にしているから窒息することはない
「今は大丈夫でも…今後ホルモンの乱れで睡眠不足が起こることも有り得るわ」
「そういうこと言うと硝子医者っぽいね」
「一応、医者だからね」
そう軽口を言い合いつつも五条はこの状況は軽視できないと考えている
人は朝日がでたら起きて動き始め、日が落ち夜が来たら寝る
これは誰に教えられるわけでもなくいつの間にか日常のメカニズムとなってそれを基準に生きるようになっている
しかしAにはその指針がない
時間の感覚もおそらくないだろうから、五条や七海が寝ようと言えば寝るし、起きろと言えば起きる
一人にしておけばずっと寝ているかもしれないし、ずっと起き続けているかもしれない
視神経を刺激するものがほとんどないから、色彩の感覚も体内時計と言われる調節機能などが衰えていく
「そろそろ出してあげますかね」
「それ、許可とってんの？」
「まさか、高専のじじい共が出すわけないじゃん」
「だよねー」
さらりと硝子の長い髪が揺れる
控えめに笑みを零し、硝子はビールを一口飲み込んだ
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みけいぬこ(プロフ) - バナナプリンさん» コメントありがとうございます！楽しみにしていただけて嬉しいです。また読みにきていただけたら更に嬉しいです(∗ˊ꒵ˋ∗) (1月22日 7時) (
レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
バナナプリン - めっちゃ好きです！！設定とか物語すごく凝っててすごいですね！！これからどうなっていくのかすごい楽しみです！！🍌🍮 (1月21日 0時) (レス) @page10 id: 2d27e83292 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2024年1月19日 10時
