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『イダィ……痛ィィい……』
身体のほとんどが消失し僅かな蔓と片目の眼球までを繋ぐ僅かな肉が残る呪霊はそれでも前に進もうと地を這っていた
五条の攻撃を受けてもなお生き残るのははっきり言って厄介極まりないが、その呪霊の特性は上手くいけば使えるのかもしれないと夜蛾は考えた
「五条、少し任せてくれないか」
「？……何する気っすか？」
昔の粗暴さが顔を出し始めた五条を片手で制して夜蛾は1人前に出る
消し去ることが出来ないなら利用できないか、と夜蛾は発想を転換した
それは偏に己の得意とする術式があってこそ
『A……Aﾊどﾄﾞﾄﾞこォ…』
「Aに会いたいか」
砂利をふみしめる音が鳴り、呪霊の眼球が僅かに上をむく
サングラス越しにそれを見やり縋るようなその視線に僅かに感情がある事を理解した
『会い、タィ…会ｨﾀﾞい……どこｫｫｫ』
「会って貴様は何をするつもりだ」
人間が死後呪いになったものは怨霊と呼ぶ。しかし蠱毒により多くの呪霊と交わったこいつはどう呼称すればいいのか謎な所だ
しかし、根本が怨霊ならば、死してなお未練がありそれが呪いとなって顕現したもの。大概は一個人を呪い殺す事が目的なのだが
『A……一人ｨはカワｨそう。カワイｨゎﾀｼﾞの子ｫｫｫ！』
叫びながら血か体液か何か分からないものを吐き散らし蔓で地面を引っ掻き再び歩みを進めようとする
そこに母の面影は微塵もないのだが、その子を思う執着がそうなのだと言われたらそうなのだろうかと夜蛾は眉を顰める
愛情の反対は憎しみではなく無関心だとマザーテレサは言う
そこに何故憎しみの言葉が入ったのか
それは愛は憎しみに転ずることもありうるからだ
反転したその思いは呪いとなり、また人に戻る
そうして世界は流転する
しかしそれが正しい世界の形だとは思えないのだ
子を想い手を伸ばす親の気持ちを
汲みたい気持ちとそうじゃない気持ち
その狭間で正しい選択を
「会わせてやる。代わりにお前の全てを俺に寄越せ」
生者が幸せであれる選択を
＿＿＿...
『A……A……Aッ』
五条の目の前にはまん丸とした鳥のような人形がキャッキャと横たわるAの周りを駆け回っている
「こら暴れるなピーティ、約束を忘れるな」
『ワカッテる！デキる！』
夜蛾の言葉を理解し敬礼をするように蔓のような腕を一度上げるとその蔓をそのままAに伸ばし優しく労わるようにそっと巻き付けた
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みけいぬこ(プロフ) - バナナプリンさん» コメントありがとうございます！楽しみにしていただけて嬉しいです。また読みにきていただけたら更に嬉しいです(∗ˊ꒵ˋ∗) (1月22日 7時) (
レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
バナナプリン - めっちゃ好きです！！設定とか物語すごく凝っててすごいですね！！これからどうなっていくのかすごい楽しみです！！🍌🍮 (1月21日 0時) (レス) @page10 id: 2d27e83292 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2024年1月19日 10時
