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「……な、んだ…これ…」
突然の衝撃波で耳がイカれたのかキーンと耳鳴りがする
辺りを土煙が舞い、少し先も見えなくて男は一人その場で腰が抜けた
「大丈夫か!」
「ひっ、何!?」
突然肩を捕まれ視線を向ければサングラスが特徴のガタイのいい男が目の前にあって、それが学長だと判断するのに数秒かかった
何も聞こえず、口元で辛うじて言葉の意味を理解して数度首がもげそうな程に縦に頷けば、納得してくれたようでポンと最後に一度頭を撫でて先を歩いていった
「……生き、てる…」
そのあたたかさにようやく生を実感して遅れてやってきた恐怖で全身が震えた
目の前の光景は一体なんなんだと涙で滲んだ視界ではもう何も見えなくて
その中で自力で立ち上がってる人間がちらほらいるのに気づいて自分は凡人なんだと思い知った
ただ少し見えざるものが見えただけなのだと
「……やりすぎです」
「離れてろって言ったじゃん」
「あの短時間では無理です。加減を覚えてください」
「へいへい」
砂煙を纏っていても絵になる姿と、謝る気もないその不遜な態度に七海は溜まるフラストレーションを無理矢理に呼気で吐き出す
数年離れていてもこれは変わらないのかと幻滅と理解で自己完結させてそれよりもと煙の向こうに意識を向ける
周りを多大に巻き込んだ五条の反転術式によりこの場にいた魑魅魍魎の呪霊達は根こそぎ消滅した。残穢一つ残らなかったようで感じるのはAの呪力のみ
「チッ、どんだけしつこいんだ……あいつ」
「な!……ありえない…」
五条の舌打ちと共に僅かに感じられた呪力に七海は驚愕した
避ける事は不可能で圧倒的呪力で全てを破壊するだろうその術式を食らって辛うじてとはいえまだ生きていられるなんて、この呪霊は未登録の特級呪霊と言える
「五条さん…これは」
「多分あれはあいつの母親の怨霊だ…Aをひたすらに求めてる」
「それにしては呪力が高い気がするが」
「鹿山家はAに引き寄せられるように呪霊で溢れ屋敷の中で共食いが行われてた」
「蠱毒ですか…元は呪殺だが自然発生したということか」
「珍しいケースですね、」
「大手企業だから妬み嫉み負のエネルギーは溜まる。加えて空の器…それで?その中で勝ち残ったのがあいつってわけ」
「7年もの間他の呪霊を食らい続け力をつけた……厄介だな」
「ほんとそれ、なぁんで赫食らって死なないんだよ」
苛立ちに目元をピクピクさせる五条
また赫を出しかねないと夜蛾はさりげなく五条の前に立った
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みけいぬこ(プロフ) - バナナプリンさん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただけて嬉しいです。また読みにきていただけたら更に嬉しいです(∗ˊ꒵ˋ∗) (1月22日 7時) (レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
バナナプリン - めっちゃ好きです!!設定とか物語すごく凝っててすごいですね!!これからどうなっていくのかすごい楽しみです!!🍌🍮 (1月21日 0時) (レス) @page10 id: 2d27e83292 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みけいぬこ | 作成日時:2024年1月19日 10時