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__弱者生存、それが社会のあるべき姿さ弱気を助け、強きをくじく
青々とした懐かしい記憶の中で
忘れられないあいつが言った吐き気のする正論が
ずっと頭から離れない
バカバカしいと鼻であしらいながらも
それは言葉にするまでもない至極当然な理論だったからで
それをわざわざ言葉にするのが馬鹿らしいと思ったのに
それを言った親友は
それとは正反対の道を進むと自ら決意して背を向けた
それならば弱者が生まれる理由はなんだ
弱者が生きる理由はなんだ
殺されるために生まれる命などありはしない
死にたい人間などいないのではないか
だから、強者となった者が生きる手助けをしてやる
“Aを殺して“
生きる中で対立することは起こり得ることだ
生存競争とも言えるそれは大なり小なり命を奪い合う事も厭わない箍が外れてしまうこともある
でも、根本は誰も死にたくなどないはずなのだ
星將体に選ばれていたあの子も
心の底で生きる望みがあった
『ころ、して…』
「……何言ってんだ…ガキが……」
醜い叫びを上げながら呪霊が押し潰され祓われる
対して力もない低級呪霊ばかりだ
五条がただ突っ立ってるだけでも祓えてしまう
光に集まる虫のように近寄っては祓われ近寄っては祓われ
そんな世界を五条は憎らしく睨みつける
生きたいと望んでいた人間が何人死んでいることだろう
今この瞬間にもどこかで生きたいと叫んでる人がいるかもしれない
生きるとは、生とはそれほどにも望まれ尊くそして儚いものなのだ
どれだけ強くとも何かの拍子であっという間に死んでしまう人もいる
『ころ、して…』
何も写そうとしない
虚空の瞳
ただ一人生かされていた存在
それがどれほど尊いことか
「チッ…誰が、殺してやるかよ」
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙コロしテやるぅぅぅ」
餅のように膨れた巨体の呪霊が五条に向かって突っ込んできた
それは五条を知る人間から見たら自 殺行為のような所業だろう
加えて今はすこぶる機嫌が悪い
更に言えば、呪霊が紡いだその言葉は今の五条には禁句
まさに呪いの言葉だ
「ァア??ちょっと黙ってろ……カビた餅が!」
伸ばした腕は途中で止まったかのようにその進みを遅くさせ
伸びてきた五条の足の一蹴りで何故か身体は真っ二つに裂けた
消えゆくその死に際に
ギラギラと輝く蒼をみた
それはそれは美しい色だった
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みけいぬこ(プロフ) - バナナプリンさん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただけて嬉しいです。また読みにきていただけたら更に嬉しいです(∗ˊ꒵ˋ∗) (1月22日 7時) (レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
バナナプリン - めっちゃ好きです!!設定とか物語すごく凝っててすごいですね!!これからどうなっていくのかすごい楽しみです!!🍌🍮 (1月21日 0時) (レス) @page10 id: 2d27e83292 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みけいぬこ | 作成日時:2024年1月19日 10時