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ページ13

この場は呪霊が子供を呪い殺そうとしてる

そう考えるのが順当だ




「(でも、なんか変だ)」



ここが蠱毒の巣窟で呪霊同士の共食いが行われていた
そこに居合わせた人間は呪い殺され並の呪術師でも無傷ではすまないだろう

そんな場所で子供が今日まで生き残れるものだろうか?





「A……A ァ、ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙わだジノ愛シイ子オオオオオオ!」



呪霊はそう叫びをあげて無理矢理に身体を起こし五条に突っ込んできた
牙を剥き出しに大口を開けて飲み込もうということだろうか

半身が削れ剥き出しになっているのに飲み込んだところで消化される場所などないのに




「愛しい子、ねぇ…」



漏れたのは嘲笑と侮蔑

もう見たくもないと五条は背を向けて仮想質量を圧縮し呪霊を真上から圧死させた。水音が背中を汚し、飛び散る物質を放置して靴音を鳴らし前に歩を進める


ゆっくり消失していく蔦は

未練がましく子供を閉じ込めようといまだもがいている





「呪いが…ッ汚ぇ手で触ってんじゃねぇーよ」




人はなんと醜いのだろう


愛すらも呪いに転じてしまうのだから


五条が進めばそこにある無限がバチバチと音を立てて残りの蔦を滅していく
最後の慟哭を聞きながらようやく縛りから開放された子供の身体を五条はその腕に抱いた




「…かっる」





見た目的に3.4歳くらいだろうか
明らかに成長は阻害され見た目より実年齢は上かもしれない



「…」



呪霊が消滅した今もなお、肌を刺すような強大な呪力は消えずにこの場に留まり続けている
もうとっくの前から気づいていることなのだがそれをどうにかして否定したいと思う自分がいるのだ



7年前に突如現れた強大な呪力





「…この子、7歳、ってことになるのかな」





ここで今日まで生き残れた理由

呪霊に呪力を注がれても生きて自我を喪失しないですんでいる理由

そしてここに呪霊が集う理由





「…天与呪縛」






強大な呪力の気配は感じるのにこの子供からその放出は一切見られないのだ

この現状を簡潔に端的に言うならそれしかない





「…」





虚ろな赤い瞳はどこを見ているのか

眺めていたら唇が僅かに動いたので

五条は少し屈んで耳を寄せた













「…ころ、して……」







蚊の鳴くような声だった

幼さの残る拙い声だった

目に涙を浮かべるでもなく

眉をひそめるでもなく


ただ人形のように子供は呪いの言葉を紡いだ







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設定タグ:呪術廻戦 , 男主 , 五条悟   
作品ジャンル:アニメ
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みけいぬこ(プロフ) - バナナプリンさん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただけて嬉しいです。また読みにきていただけたら更に嬉しいです(∗ˊ꒵ˋ∗) (1月22日 7時) (レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
バナナプリン - めっちゃ好きです!!設定とか物語すごく凝っててすごいですね!!これからどうなっていくのかすごい楽しみです!!🍌🍮 (1月21日 0時) (レス) @page10 id: 2d27e83292 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みけいぬこ | 作成日時:2024年1月19日 10時

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