6 ページ20
「……ということで、俺も戦いに参加することにしました」
頬にはガーゼ
足には未だ包帯が巻かれた痛々しい姿で
「しましたって……お前…」
「おかんっ落ち着いて！」
「そんな深い重い溜息やめてあげてっ！」
B組の談話室のソファに腰掛け、しっかりとした瞳を向けるAは
呆れたという溜息を吐く回原とそれを落ち着かせようとする円場や泡瀬を見つつももう意志は変わりませんという気配をビシビシと伝えていた
「まぁ…俺らはヒーロー志望だから戦うって事に反対するのはナンセンスだと思うんだけどねぇ」
これ以上この場を緊迫させない為にと骨抜が最もなことを言う
敵を前にして逃げたり、戦わないという選択をする事はきっとヒーローらしからぬこと
それは誰もの心の隅にある思いだ
それこそ、例えこの命朽ち果てようとも悪を打ち滅ぼす
なんてかっこいいセリフを言ってみたいと憧れた頃もあっただろう
「でも、だからって大事な友を一人無謀な敵地に送り込める程非情じゃないんだよね」
「……無謀かどうかは別として、今まで行方も知れなかった仲間を見送れる程薄情ではないし友達として心配する」
「……」
壁にもたれて腕を組む物間が真剣な声色で少し苛立たしげに話、それに遠慮気味にでもしっかりと拳藤も心の内を言葉にした
それに他の面々も力強く頷く
みんながみんな、これ以上A一人が傷つくのは見たくないのだ
「それハ氷叢さんonlyにしかできないことなんデスか？」
「そうなの！荼毘と戦うべきは他にちゃんといるノコっ…」
なにも、わざわざ氷叢がやらなくても
その思いがありありと分かる痛切な表情で小森は叫ぶ。たまらず込み上げる涙を隠すかのように隣のポニーに抱きつく
Aは一連の皆の反応をみて不謹慎にも頬が緩んでしまった
この場に似つかわしくない緩い笑みに、予想外の表情にA以外は面食らった
小森の涙は驚きに引っ込み、下がっていた眉は一部がつり上がった
「何……笑ってんだよ…！」
「わぁあ！回原ダメ！その握った拳おさめて！暴力はよくないって！」
Aの正面に座る回原の腰が浮いた事で円場が慌てて引き止める。エアプリズンで二人の間に見えない壁を作るべきかとも思いつつ、相変わらず場違いに緩い笑みを浮かべるAにさすがに苛立ちが湧きそうになって、ふと思った
「(氷叢が笑ってんの久々に見たな……)」
そもそもここ最近、自身もいつ笑っただろうかと回原の腰に抱きつきながら思ったのだった
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 195人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アカ - ありがとうございますほんと！日々の栄養です！ (3月31日 22時) (
レス) @page25 id: 6b437022f9 (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - アカさん» また更新してみました（ *ÒㅅÓ)ご査収ください！ (3月27日 20時) (レス) @page19 id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
アカ - 更新！嬉しいです！ (3月8日 16時) (レス) @page19 id: 6b437022f9 (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - 白さん» またまたコメントありがとうございます！褒めすぎです！ありがとうございます(⸝⸝⸝°°⸝⸝⸝)楽しんでもらえて嬉しいです！続き書いちゃいます！ (2月1日 23時) (レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
白 - 続編待ってました！やはりあなたは神なのでは……？ずっと応援してます！！本当に好きです！！！！ (2月1日 20時) (レス) id: 009b20195a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2024年1月3日 1時
