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「僕は、Aを取り戻せるならそれでいいんだ…残念だけどこの姿では生きにくくなってしまったからね、世界がAと一つになれと叫んでいるんだ」
「…(言ってねぇよ)」
「ヒーローから取り返すついでに奴らを殺せるならと仕方なくここにいるんだ。世界をぶっ壊すのは勝手にやっててくれ、こちらの邪魔をしないならお前らの良いように多少は動いてやらんでもない」
なんとも上からなものの言い様に苛立たないわけではないのだが、荼毘はあえてここでは何も返さずヴィクトリアの話に同意している風を装う
「(勝手に盛り上がってるところを横から俺が奪い取ったらどうなるか、今のあいつがこいつになり変わるのも癪だな)」
聞く限りヴィクトリアという男は愛に飢えたケダモノ
どんな形にせよ手に入れられた愛はすぐさま忘れないないと泣き喚き世界を探し回る。そして一方的に見出した愛を相手に押付け受け入れさせあたかも相愛のように見せかけて取り込み喰らいまた忘れる
こんな異能を野放しにしていていいのだろうかとヒーローっぶってみる
関係ない奴らには毛ほども脅威では無いだろうが
大切な人にその狂愛を向けられたら
無関係だと見て見ぬふりをしていられるだろうか
「俺の愛を奪ったら、そん時は遠慮なく殺るぜ」
「…お前のものなど毛ほども興味ない」
コツリと足音を鳴らし荼毘に背を向け歩き出すヴィクトリア
さらりと流れる水色の髪は柔らかそうで風に踊るよう
自由に歩き回れどこへでも行ける今の姿は
ヴィクトリアと混じり合う前より幸せと言えるのだろうか
その人格も何もかも溶け込んでしまったのだろうから聞くすべはないし興味もないのだけれど
「…」
荼毘の脳裏にチラつくのは暗闇の中恐怖に震える碧の瞳の少年
愛などという感情はもうとうの昔に灰にとなって消えてしまっただろうから
この胸を燻るのは嗜虐心
玩具を横取りされるのは好きではない
仲間でもなんでもない使える駒のひとつに過ぎないのだから
「せいぜい、楽しませてくれや……イカレ野郎」
目の前に望むものは何度もあってその度に手にしてきたはずなのに
もっともっとと贅沢に求め彷徨うその姿は
荼毘の瞳には酷く滑稽で醜いものに写った
たった一つの望むものすら手にできない自分の存在が
哀れで腹立たしく轟々と静かに悔恨の念は募るばかり
たった一つの叶わず燻り続けた執念で
世界を変えよう
改めて、荼毘はここに決意した
この世界に本物の英雄なんていないことを
望みなど叶わないということを
.
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みけいぬこ(プロフ) - どなるどさん» コメントありがとうございますっいただいた応援にこたえます୧( "̮ )୨✧︎ (3月14日 16時) (
レス) @page49 id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
どなるど - どの作品も大好きなんですが、この作品はその中でもとくに大大大好きな作品です！！続き気長にまってます🎶応援してます！❤️🔥 (3月13日 21時) (レス) id: 6d4f03cb94 (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - ラーメンさん» 2回目コメントありがとうございます！今は平穏な記憶をたくさん作っています( * ॑꒳ ॑*)これからが大変なので…頑張っていきますね (11月7日 21時) (レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
ラーメン(プロフ) - 更新お疲れ様です！みんな可愛すぎてもうなんかやばいです。これからも愛読させていただきます！ (11月7日 17時) (レス) id: 79a6e04b38 (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - ラーメンさん» コメントありがとうございます！嬉しい：-：無理せず更新してきます！読んでくださってありがとうございますっ (10月5日 21時) (レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2023年8月28日 13時
