淡い願い ページ12
初めてきた塚内の家はこじんまりとしていて物もあまり置いていなかった。男の一人暮らしはこんなもんだろう、と判断する基準を持ち合わせていないからクラスメイトの部屋から判断するしかないのだがそれでも殺風景だなと思った
炬燵に入って年末の特番を流すテレビをぼんやりと眺める
赤と白に別れ交互に歌を歌うそれももうすぐ終盤なのか盛り上がりを見せていた
年越しそばなるものは先程塚内と一緒に食べた
出汁の匂いが食欲をそそりなんの戸惑いもなく食べられた
それを嬉しそうに見つめる塚内の視線が気恥ずかしかった
「A、初詣に行こうか」
「はつもうで…？」
「1年の感謝を伝えたり、新年の平安や無事を祈願するんだ。今年は感謝することが沢山あるからね。ちゃんとお礼を言わなきゃ」
何に対しての感謝かなんとなく分かってしまって頬が赤く染まる
と同時にAも感謝の気持ちを伝えたいと思った
「行き、ます…行きたい」
「じゃあ用意しよう。寒いからちゃんと防寒するんだよ」
「はい」
向けられるこの優しい笑顔
あたたかな手に感謝を
コートを着てマフラーを巻いて外に出れば息が白む程に外は寒さを増していて、空を見上げれば澄んだ空に星が瞬いていた
「綺麗…」
こんなにのんびり星を眺める時間がある事に小さな喜びを感じる
空も世界全て真っ暗闇で光などないと思っていたのに
「さぁ、行こうか」
今は振り返ればすぐそこに、光が見える
伸ばされる手にそっと手を添えてそのぬくもりに安心できる
＿＿..
「…」
「すごい人だな…」
深夜というのにごった返す人の多さにAは無意識に塚内の手を握った。それが嬉しくて安心させるように塚内は握り返し、お参りの列をゆっくり進む間色んな話をした
しっかりとつけられたヘッドホンと少し緊張しているAの表情が話をしているうちに少しずつ揺らいでいくのが塚内には見て取れた
自分と話をして安心を覚えてくれるその様子が堪らなく嬉しい
やっと自分たちの番になった時には少し多めに小銭を投げ入れいつもより丁寧に、そして深く礼をした
「(Aと出会わせてくださってありがとうございます。彼の憂いも不安もなくなりますように…)」
そう願わずにはいられない
この混沌とし悪が蔓延る世界で
平和を安寧を誰しも望むしその為に出来ることはなんでもやるつもりだが
一人の人間として、子の親として
ただ一人、彼の平穏を笑って過ごせる毎日をただただ願う
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みけいぬこ(プロフ) - どなるどさん» コメントありがとうございますっいただいた応援にこたえます୧( "̮ )୨✧︎ (3月14日 16時) (
レス) @page49 id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
どなるど - どの作品も大好きなんですが、この作品はその中でもとくに大大大好きな作品です！！続き気長にまってます🎶応援してます！❤️🔥 (3月13日 21時) (レス) id: 6d4f03cb94 (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - ラーメンさん» 2回目コメントありがとうございます！今は平穏な記憶をたくさん作っています( * ॑꒳ ॑*)これからが大変なので…頑張っていきますね (11月7日 21時) (レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
ラーメン(プロフ) - 更新お疲れ様です！みんな可愛すぎてもうなんかやばいです。これからも愛読させていただきます！ (11月7日 17時) (レス) id: 79a6e04b38 (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - ラーメンさん» コメントありがとうございます！嬉しい：-：無理せず更新してきます！読んでくださってありがとうございますっ (10月5日 21時) (レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2023年8月28日 13時
