【ヒロアカ】Vergiss-mein-nicht Ⅸ (ページ27)

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あの頃の恐怖、まではいかないが似た寒々しさが全身をかける。でも声は聞いたことがあって油の切れたロボットのようにギギギ…となんとか首を回して後ろを見れば頬を紅潮させヨダレを垂らす峰田の姿が見えた。下半身には一応タオルが巻いてある

少し先の風呂場へ続く扉が僅かに開いてそこから湯気が立ち上る。いつの間に開けたのだろうか音が聞こえなかったな、と呑気に考える

「はぁはぁ…やっぱりA、男にしとくのもったいねぇよ…」

「…何がだ…よ、寄るな……っ」

なんとか絞り出せた拒絶の言葉は思いのほか震えていて驚いた。過去の恐怖は消えていないんだなという思いと、だけど、昔とは違い何故かこれ以上の恐怖は起こらないんだろうなと背後の湯気が不自然に揺らめいたのが見えて思った

ゴンッ -

「痛ぇっ！！」

ヒュンと音を立てて黄色い何かが峰田の後頭部を直撃する

その勢いに前のめりに倒れてきて、最後の抵抗かと足をバネにして飛び上がり両手をAの方に向けて飛び込もうとしてきた

それは瞬きの間に起こった事で、飛び上がった峰田は白いテープに瞬時に雁字搦めにされ後方に引っ張られ部屋の角の所で突然の冷気と共に氷が現れその中に閉じ込められた

「ったく…油断も隙もねぇな、峰田」

「くそまりも！扉開けっ放しにすンなや！熱が逃げんだろォが！！」

「Aッ！！」

下半身にタオルを巻き呆れた表情の瀬呂が扉付近にいて、その背後から爆豪のキレ散らかす声が聞こえる。すぐ近くに桶が転がっており峰田に投げられたものはコレだろうと察する。そして、名前を呼ばれ振り向くよりも早くその声の主に抱きしめられる。安心する香りが鼻をくすぐり少し冷えた体を優しく包んでくれる

「しょ、うと…？」

「すまん、A…皆風呂行ってるからって油断した……！」

「まぁ、皆で入ってたんだけどなぁ…つか峰田以外A来てること気づいてなかったんだけど。センサーかなんか付いてんのか？峰田やべぇな」

「何もされてねぇか？！」

「あ、うん…話しかけられただけ？だよ」

会話と言うよりは一方的に胸糞悪い情欲を押し付けられただけではあるのだがそれを今の焦凍に正直に言えば峰田が今以上に仕置を受けるだろうと思って言うのを辞めた(今の時点で息ができてないのではないだろうか？)

「大丈夫、気持ち悪かったけどそこまで怖くなかったんだ…来てくれるって信じてたから」

強く強く抱きしめてくれるそのぬくもりが嬉しくて、目の前の焦凍の髪をそっと撫でる
安心してくれと思いながら

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