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「それ、絆されたって言うんですよ。轟家全員掌握するとは末恐ろしいな、あの子」
本人の口から言質をとった
エンデヴァー自身はそれが真に何を意味するのかまでは考えていないだろうけれど、ホークスは近い将来起こりうることを頭に描いてはぁとため息をつく
「ま、こんだけ世の中荒れれば現体制なんていくらでも変えられるし問題はない、か」
「ム、ホークスなんの話しをしている」
「いえいえ、笑っちまうくらい明るい未来の話ですよ。だって今の日本は認められてないっしょ」
「？？？貴様の話は先を行き過ぎて突拍子がなさすぎる！何の話だ！」
「あーそんな怒鳴らないでください！あっちに気づかれますよ」
慌てて口を噤むNO.1を横目にぱさりと剛翼をはためかせ水滴を払う。エンデヴァーは焦凍がAを通して愛を知ったと話したがそれはあなたも同じなのでは？という言葉を飲み込んだ
「(これから愛するはずだった人を壊さなきゃいけない人に話すのは酷、ってもんかな)」
世界は美しく残酷だ
どうしてそんな道を歩ませるのかと嘆く悲劇喜劇は多い
それは現実がそれの小規模の連続の繰り返しで身近なものだからなのかもしれない
「でも、愛があるから人は強くもなれる……人は守るために力を発揮できる生き物だからね」
どちらかといえば道化の役をこなしてそうな己に愛なんてとても陳腐に感じてしまう大層な代物だけど、エンデヴァーのような悲劇の主人公になりえそうな人のいうその愛は理解できないわけではない
「……俺のことも、見ててね…なぁんて言ったらあの子はどんな顔するかな」
あのひ弱そうですぐにポキリと折れそうな細腕で
優しく包まれたらどれほど幸福なのだろうか
無価値なようでいてとてもあたたかいあの存在を
この手で守ることが出来たら
その後に受ける感謝の微笑みはどんな絵画より美しく
どれだけの価値があるのだろうか
「ただでさえ羨ましかったのに、いっそ清々しいや」
「一人で何をブツブツ言っている。雨も止んだしここも落ち着いた。移動するぞ」
「…りょーっかいです」
いつか来る笑っちまうくらい明るい未来で
エンデヴァー達と肩を並べて幸せそうなAの笑顔を見れたらいいな、とホークスは思う
．
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2023年3月1日 15時
