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今まで見て見ぬふりをしてきたこの目を
それでも大切にしなさいと言ってくれたその言葉を
大切にしたいと思った
麗日の必死の叫びを聞いて、改めてヒーローは人であり個人であり万能ではないことを理解した
それでもキラキラ輝いてかっこいいことには変わりなくて
自分を犠牲にして誰かを守ろうとするおせっかいな人種なのだと
そんな彼らが疲弊し追いつめられ倒れそうな時
全てを支えることは出来なくても隣で寄り添い疲れを少し癒す手伝いができる人になりたい
また彼らがおせっかいを出来るように
誰かを守れるように
「焦凍が、疲れたら俺が癒したいっ…何か言われても俺が盾になりたい！俺もっ焦凍…守りたいぃ…！」
麗日の言葉に胸が熱くなった
Aの心の中で焦凍の存在がとても大きなものになって
会いたくなった
人々の不安の爆発が過去を思い出させ恐怖に震えた
でも同時に救われた事も心の中で光り輝いていた
窓から見下ろした世界の端に姿を見つけ考える間もなく駆け出した
今1番辛いのは緑谷かもしれないけど
同じくらい辛くて心を痛めてるのは緑谷だけじゃないことを知っている
人はそれぞれに痛みを抱えていて
それを乗り越えるため、償うため、力に変えるため努力をして虚勢を張って無理をして前に進む
きっとここでその背を見送っては緑谷の二の舞になってしまう
そんなのは建前で、ただ側に行きたかった
彼に、触れていたかった
「焦凍は、最高傑作とか…ヒーローとか以前にっ……焦凍だから。俺を見つけてくれった…一緒に、生きてくっていってくれた､たった一人の人だから…っそれだけですご、いことなんだ……」
「…何言ってんだ、A。支離滅裂だぞ。どこにも行かねぇから」
どこにも行かないで
一人先に行かないで
暗闇に囚われないで
悲しみに飲まれないで
「俺、そばにいるから…ずっと焦凍と一緒がいい……俺も焦凍と、一緒に生きていきたい」
「なんで今言うんだ…すげえ嬉しいけど」
ヒーローは人だ
特別な人は一人もいない
それでも立ち向かい色んな苦難や困難に辛い目に合うヒーローを
蹲りもうダメだってなってしまう前に癒してあげられる人になりたい
「世界を救う力は無いけど、俺も誰かを守れるようになりたい…その誰かは、焦凍がいいって……麗日さんの演説聞いてて、思って……たくさんは救えないから。焦凍は絶対、俺が……」
守りたいと思ったんだ
そばにいたいと気づいたんだ
その名前は……
．
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2023年3月1日 15時
