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《ここを！彼の！ヒーローアカデミアでいさせてください！！！》
＿＿…
必死に叫ぶ、麗日の声が聞こえた
「聞イテイタカイ？クラビティノ演説」
雄英バリアの境目で、身を潜めていた焦凍はゲートを潜ってこちらに来たエクトプラズムに目を向ける
エンデヴァーとホークス、そして轟家の末弟である己は避難してる人々からは緑谷以上に歓迎されない、火に油を注いでしまう人間だろうと配慮しての事だった
大切な友の側にいてやれない己の立場が少し恨めしい
しかし、罪の重さを考えればと耐えるしかないのだ
「入ッテ見タホウガイイ…大丈夫ダ少ナクトモ今ハ」
そう言って連れられゲートを少しくぐると先程の言葉の圧が犇めき怒りと不安で満ちていた空間が柔らかくそしてどこか明るいものに変わっていた
「……結局俺たちは、デクに辛い思いをさせただけだった。何も進展のない遠回りをさせただけだった」
弱々しい父の声はここ最近で聞き慣れてしまったなと思った
あんなに強く大きく、圧倒的で憎悪の象徴だった人とは思えないほど、人間味を帯び儚くなったものだと
「進展ならありますよ」
「焦凍っ！」
ホークスの言葉に被るように聞こえた声に心が跳ねた
ぼんやりしていた気持ちが引っ張られるように浮上して雨で視界の悪い中声を探す
「っ！……A…？」
トンっと軽い衝撃と共に背中に温かさを感じる
息を切らして縋りよる温もりの名を呼べばすすり泣きと共に赤くなった頬と潤んだ瞳が見えた
「な、んで…泣いて……」
Aの泣き顔を見てドクリと心臓が変に脈打つ
校長の部屋に預けていたはずで、雄英敷地内でどこよりも安全なはず。何かに襲われた？酷い言葉を投げかけられた？勘違いした避難者達に追われた？そんな嫌な想像が一気に頭に流れ込んできた
「怪我、どこも怪我…「俺の隣、空いてるからっ…！」
してないか、と尋ねようとした言葉はAのそれにかき消された
「……ぇ……」
真剣にまっすぐにこちらを見上げるその必死さに対して、焦凍の耳に届いた言葉があまりにも意外で脈絡のないそれにどこか甘さを無意識に感じ取ってしまい、頬が朱に染まる
どういう意味をもってその発言をしているのか
平素であればAのその言葉に感謝して他の奴には絶対譲らないと、そこは俺の場所だと間髪入れずに伝え抱きしめたい所だが、今はそうではないのだろうと理性が押し留める
Aは何を伝えようとしてるのか
．
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2023年3月1日 15時
