【ヒロアカ】Vergiss-mein-nicht Ⅸ (ページ13)

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目の前の光が眩しいと感じる

“大人になったね“と言う根津校長の言葉に

そうなのだろうか、と疑問が浮かぶ

「私は敵の目的である彼が雄英に戻りたがらない事を踏まえ、チームアップを是とした」

子供たちの言葉が、根津の言葉が反響するかのように聞こえては消えまた聞こえては消える

どこかふわふわしたその感覚は

心が擦り切れ疲れ果てているからなのだろうか

言い分は理解できる

でも、外は危険なんだ

これ以上、犠牲を出したくはない

それは今までもそう思ってヒーローをやってきていたはずなのに

「(大人…成長したと、いうことか…？この俺が、？)」

何がどう根津の目に成長と写ったのか

何が、変わったのか

「でも、いいのさ。戻ってきても」

「「「！」」」
「え！？」

根津の言葉にその場の全員が息を飲んだ

それをエンデヴァーはどこかぼんやりと眺めていた

「…」

何を言っているのだ、と思ったことはそのすぐ後の根津の言葉で己の狭量さを身をもって痛感する

成長、なんてしてないではないか

「合格通知を出した以上は、私たちが守るべき生徒さ」

緑谷出久もまだ15.6の少年で

目の前の彼らと同じく生徒なのだ

その理解はできても口からついて出るのはエンデヴァーとは思えないような弱々しい言葉

「しかし避難者の安全が…彼らの中にはまだ…」

眩いその炎で何もかもを蹴散らし平和の象徴にも劣らない強さだと口答えなど許さないほどに力を示してきたはずなのに、他人の心配を、与えられるであろう言葉の暴力の痛みを恐れる

これは、成長なのだろうか

こぼれ落ちるものがあること

背に重くのしかかる贖罪を自覚した途端に

決断が、恐ろしくなった

何を選んでも過ちとなってしまうのではないか、と

「何も敷地面積だけで指定避難所を受けいれたわけじゃない。彼らには私から何とか伝えよう」

「校長…」

「轟くん、君が恐れるそれは間違いじゃないし、後退でもないのさ。ちゃんと前を向いて歩んでいるからこそ起こりうる必然的事象であり成長の鍵だ。人間はその鍵を開け前に進める可能性がある。私はそれを成長とも進化とも言えると思う。そしてそれはここにいる全員が胸の内に秘めていて私はそれが花開くのが待ち遠しいのさ」

根津は思う

どんな花も諦めずに立ち上がりどこででも花を咲かす

その愛おしい花達を最高の環境で育て見守る事ができるなら

より一層美しく綺麗な花を咲かせてくれることだろう

「いいんだよ…オールマイトもここで育った！君たちの手で連れ戻してあげておくれ」

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