仔竜、世界をみる ページ2
＿＿私は信じたい…
信じたい
＿＿全力で協力します
負けられない
ほわりほわりと声が聞こえる
誰の声？
これは怖くない人たち
優しくて強くて安心する大切な人たち
困ってる？頑張ってる？
泣いてる？怒ってる？
戦ってる
たくさんたくさん
戦ってる
そんな姿をみるのが嫌だった
傷つけられる姿をみたくなかった
これはぼくのきもち？
分からないけど、そう思う
だいすきなひとたちには
わらっててほしい
「……ゎ、あって…」
「……A？」
車に揺られ少し緊張した面持ちで外を眺めていた相澤は微かに聞こえた音に膝のぬくもりに目を向ける
これから向かう場所を思えば根津なりマイクなりに預けたかったのだが、くっついて離れなかったので仕方なく連れてきた次第である
大人しく、膝に座っているAは零れ落ちそうな大きな真紅の瞳を上に向ける
「キュ」
「…気のせい、か」
何か今Aが話しかけてきたような気がした相澤だったが、そこには変わらずの無垢な仔竜がいるだけだった
架空が現実になった今の世の中、混沌も夢のようなものなのだ
小汚いおっさんの淡い願いぐらい叶わないものかな、とどうしようもない事を考えて馬鹿らしくて己を鼻で笑う
「そんな都合のいい奇跡、起こるわけないか」
「キュー」
顎下を撫でてやれば気持ちよさそうな声を上げて擦り寄ってくる
これから拘束された教え子に会いに行くというのに随分長閑で平和なものだなと思う
そう、相澤にとってAは平和そのものだったのだ
春の木漏れ日のように思わずぼぅっと魅入ってしまう
そこが居心地いいと無意識に理解している
Aが笑うと肩の力が抜ける
Aと目が合えば心が落ち着く
触れ合えば癒され、その温もりを守りたいと力をくれる
名を呼ばれるだけで心が和んだ
また、名前を呼んでほしい
あの日々を取り戻したい
「…取り戻さなきゃな」
お前を失った日にもう戻りたくない
「キュー」
もう、誰一人失いたくない
そのために、己ができること全てなしていく
この先の明るい未来のために
「あの日、この手を掴めてたら…お前はこんな事にならなかったか？」
聖なる夜に、一人孤独な道を歩ませてしまった後悔を
空いてしまった心の穴を埋めるように相澤は強くそっとAを抱きしめる
ごめんという言葉を必死に飲み込んだ
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 215人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みけいぬこ(プロフ) - 本好きさん» コメントありがとうございます！続き16は少しずつ執筆させていただいてます！よろしければ読んでみてください！原作が佳境でなかなか進められてませんが💦 (7月18日 16時) (
レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
本好き - 面白かったです♪ りゅうがすごく可愛いです。更新頑張って下さい。続きを楽しみにしています！ (7月13日 16時) (レス) id: 225623cf6e (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - 琴葵さん» こちらこそ、コメント＆リピートありがとうございます！！読んでくれてる人がいるというのは励みになります！練って練って更新していきますね！ (2023年4月5日 22時) (レス) id: a23455ed84 (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - 更新本当にありがとうございます。更新されてうれしく、何度目か分からないのですが最初からまた読ませて頂きました。更新本当にありがとう。投稿者様、ご多忙な時期かと存じますがご自愛くださいませ。更新心から応援しております！ (2023年4月5日 20時) (レス) @page42 id: 2a7eef1005 (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - ゅさん» コメント＆一気見ありがとうございます！！とても嬉しいです！原作に圧倒されてこの後どうしようかと更新遅延気味ですが頑張って進めますのでまたぜび読んでください！ (2023年3月24日 7時) (レス) id: a23455ed84 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2023年2月18日 18時
