【ヒロアカ】平和とはなにか3 (ページ48)

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- 迷える氷上(ミラージュフィールド)

「残念、俺はこっちだよ」

「！！？」

両腕が巨大な蔦のように変形しているそれを伸ばしてAを捕まえたかったようだが彼がみていたのは辺りに散らせていた霧状の氷に投影された氷叢Aだ

当の本人はその背後に音もなく立ちポンと軽い音を立てて背中のターゲットに優しくボールをぶつける。そのまま左脇腹のにもターゲットを押し当てた所で慌てて男が前のめりに逃げ離れる

「おまっ…いつの間に……！」

「つい今だよ、大丈夫。すぐ終わるから」

「ひぅ…！足、が……！」

なんのモーションもなしにいきなり足が膝付近まで氷に覆われ地面に縫い付けられれば誰だって恐怖だろう。その両手の蔦のような個性を振り回して反撃するなり氷を壊して逃げるなりすればいいのに、目の前の年上だろう青年は顔を青くし動けないでいた

音もなく背後に忍び寄り少しずつでもじわりじわりと追い込まれていく

野生の動物に狙われているような

Aの表情は特に狂気に歪んでも怒りに振るえても申し訳なさそうに眉尻を下げているわけでもない平素とした綺麗な面立ちのままだ

「ぁ…頼む、来ないで……」

その凪いだような涼しいと表現できる表情が余計に恐怖を煽った

ゆっくり喉元に牙をたてられているような恐怖を感じたと後に彼は友人に話したという

「この試験はどうあっても通過しなきゃだから、ごめんね」

謝罪の言葉とは裏腹にその瞳の奥は何も写してないような仄暗いような純粋なような、それこそ雪のように真っ白で冷たい何かがあるようだったという

《通過者24人目出ました。これで雄英高校1-Bは早くも全員通過となりました！残りの皆さんも頑張ってくださァい！》

開始から僅か10分程の出来事だった

ある者は今日までの努力の開花を垣間見れて喜び

またある者は作戦功労者を労い

またある者は暴れ足りないと次を楽しみに待つ

そして、その成長を全身で体感したものはその勢いに“さすが雄英““Bってこんなに強いのか？！““やっぱりヒーロー最多輩出高はレベル違えわ“と敵わない理由を必死に探す

これは試験だから負けても次がある

ヒーロー活動において、次という言葉ほど無意味で邪悪なものはないだろう

力を発揮できると過信している次が来ないかもしれない現実をその身をもって体感したのはA組だけではない

その意識の違いが大きな力の差となる

- B組、21名全員通過

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