【ヒロアカ】平和とはなにか3 (ページ5)

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鼻をつく木が焼けた焦げ臭さ

消化をほぼ終え残り火が少しチラつく薄暗い中

水蒸気を纏いそれでもそこそこの形を保つ氷の塊が相澤の目の前にあった

「氷叢…か？……」

無意識に漏れた言葉は誰にも返事をしてもらえず生暖かい風にさらわれる

すると、それを聞き届けてくれたのか偶然か

目前の氷が崩れ落ちた

ガシャン…と音を立て地面に割れていく氷塊を見つめると、立ち込める煙にもぞりと大きな影が見えた

「……！」

その大きさにすぐにそれがAだという思いは打消した

氷塊から出てきたであろうその影からすぐ獣のような呻き声が聞こえてきて相澤は両腕を前に構えた

「何が、起こってる……ッ」

敵連合の残党

あるいは脳無

どちらにしてもAを目視できていない以上迂闊なことはできない

警戒をそのままに目だけで辺りを見回す。燻る煙で視界が思わしくない。目視できる所にAの姿は見当たらなかった

ヒュッと風を切る音が聞こえその場を飛びのけば一瞬で相澤がいた所に氷が張る
Aの攻撃に似た氷の礫が飛んできてそれらをなんとか避ける

「(これは氷叢の……っまさか、あの獣)」

ラグドールに言われた言葉を思い出す。Aの中にある何か、そしてブラドと共に確信した野生の獣のような存在

目の前の氷の獣は正しくAの中に感じたその獣なのだろうと直感した。そして、避けて移動したことで獣の背後の地面に仰向けに倒れる人影を見つける

「氷叢ッ……！」

「グルウウウウウオオオオ！！！」

相澤の声をかき消すように氷の獣が咆哮をあげる

ただ寝ているだけなのか怪我をして気を失ってるのか、遠目には判断ができない。相澤は思わず舌打ちを一つ零す

「こっちは今急いでんだ……お前の相手をしてる暇は、ない！！」

苛立ちのままにギンっと睨みつけ個性を発動させる

個性を消す抹消の個性

個性由来で獣が動いてるなら消せるはず

ぶわりと相澤の髪が重力に逆らいあがる

それと同時にピタリと動きを止めた氷の獣は僅かばかりに抵抗を示したあとすぐに水に溶けて消えた

「はぁ、はぁ…やっぱり個性か……」

暫し辺りを警戒し見回すと特別嫌な気配は感じられず

「っ氷叢！！」

個性を解除し、相澤は駆け出した。

駆け寄りその場にしゃがむと固く目を瞑ったAがそこにはおり、所々焼け焦げてはいるが五体満足のAをそっと抱き寄せた

「おい、氷叢…しっかりしろ！おい！」

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