仮免試験 ページ39
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訓練の日々は流れ……
それぞれがそれぞれに何かを見出し切磋琢磨して、
ヒーロー仮免許取得試験当日
ブロロロッ… ＿
「着いたぞ！全員速やかに降りろッ！」
バスを走らせること少し、ブラドの声に窓から見える景色が気になりつつ前から順に外に出ていく
「A組もう着いてんのかぁ〜？」
「凡戸、A組は多古場だよ。我々とは会場が別だと説明があっただろ」
「そうだったタコパ。ありがとう〜庄田」
「多古場、だ」
少し前のそんな会話をAは聞きつつ、そうかA組とは別だったかと思い出す。個性を把握してるメンツを同じ会場にしないという説明を受けたな、と思いつつその時は特に何も思わなかったが会場にきて他校の生徒を認識して改めて何も知らない状況という当たり前の事に少し恐怖を感じた
相手のことを何も知らない
その中で敵か味方かを嗅ぎ分け
知らない場所で人々を救い当たり前の日常を守る
そうなると大事なのは情報だなとAはスンスンと鼻を鳴らす
始まるまでに何もするなとは言われていないのですんっと鼻を鳴らして嗅ぎなれない匂いを片っ端から嗅いでいく
Aの意向を察してかふわりと今の季節には少し冷たい風が頬を撫で会場を先行して進んでいく。雪那もなにか思うことがあるのか会場内を先に見てくるようだ
雪那は実体化しなくても身体を粒子レベルに変化させて移動することが可能だ。人の目にはキラキラと僅かに輝きが通り過ぎていくだけのような瞬きの間のそれは冬場は雪と見間違うことだろう。雪那が見る景色は意識を集中させればAの網膜とシンクロして見ることもできるようになった。まだ長時間ではできないが2.3分という短時間でも情報収集としては申し分ない
「(必殺技、って呼んでいいのか微妙だけど索敵や情報収集といったサポート面に少し特化したな)」
言葉回し的にはやや不満に感じられるそのAの感想
傍目からみるAは、残念そうには見えずどこかほっと安心しているようにも誰かがその言葉を聞いていたら感じたことだろう
A自身、まだ気づいていないがここ数日の出来事はAにとってとても大切な時間であった
氷叢Aというヒーローを形作る原点となりうるこの日々
目指すヒーローとは、というそのオリジン
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2023年2月2日 14時
