【ヒロアカ】平和とはなにか3 (ページ33)

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パワーローダーの示した先には数え切れないくらいの鉄くずの山があった。あれらは発目が入学してからのこの4ヶ月の間に作ったサポートアイテムだという

学校が休みの日もここへ来て没頭する様子は多くのサポート科生をみてきたパワーローダーでも特異だと語る

「“常識は18歳までに身につけた偏見である“アインシュタインの遺した言葉だ。彼女は失敗を恐れず常に発想し試行している。イノベーションを起こす人間ってのは既成概念に囚われない」

「既成概念…」

パワーローダーの言葉が何故かAには重く感じた

既に出来上がっている常識や意味に囚われない思考、行動

なんとも羨ましいものだった

「飯田くん！ちょっと教えてもらえないかな！」

緑谷の溌剌とした声が耳に届く

その表情は明るくなにか閃いたとありありとそこに書いてあるようだった

「…そういえば、なんで緑谷達がいるんだろう？」

「あいつらもお前さんと同じようなもんさ。必殺技に伴ってコス変に来たのさ」

「あぁ、午前の授業で」

何か授業で見出したことがあるのだろう。活き活きした様子は楽しげで少し羨ましくもある

「まぁ発目の作ったその手袋、お前さんには充分役立つもんだろうよ。コスチュームと一緒に申請して許可降りてるから今からでも使える。役立ててくれや」

はい、と説明書を渡されパラパラと眺める。さっき話していたように個性を発動する度にそれを感知し自動で発熱する仕組みのようである。指先に氷の爪を形成してそれを武器にすることが多いAにはピッタリといえる

「…外側に熱は伝導しないのか。猪突猛進なのにちゃんと考えられてるんですね」

「まぁ、パッと見はイカれてるように見えるがあいつは本物だ。ちゃんとサポートできるもんを作ってるよ」

さっきまで呆れていたのに誇らしいような目に入れても痛くないとでも言うようなパワーローダーの様子に、少しAは羨ましいなと思った

すぐ隣ではわいわい楽しそうに話をしている緑谷達

周りの輪に何故か上手く入れない気まずさがAの周りを渦まく

自分と周りの既成概念とはなんだろう

ヒーローになりたい、ここは共通してると思うのに

同じ道のはずなのに何かが違う

病院で緑谷や飯田、轟の話を盗み聞いていた時に感じた違和感と同じ

目指すものは同じなのに彼らの思考が理解できない

そんな楽しそうに何故いられるのだろう

自分はこんなにも不安で仕方ないのに

分からなくて、少し怖くてAは最低限の礼を残して部屋を後にしたのだった

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