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＿＿……！……！
何か、音がする
ピクリと耳を動かしてみてもうまく聞き取れない
個性が発現してから
こんなに音が、声が聞にくいことはなかったな
ふとそんなことを思う
そして、変に心臓が波打つ
何故、自分は今寝ているのだろうか
寝ていて、よかったのだろうか
「＿＿……っ……」
重たかった瞼をゆっくり開いてみて見えた真白に目が眩む
寝る前の景色はこんなに明るかっただろうか
もっと暗く、そして青く、熱かったのではなかったか
「！……A…？」
「氷叢？」
自分を呼ぶ声がする
聞いたことある声のはずなのに
誰かを思い出そうとすると
背筋を冷やす嫌な声が蘇る
Aの耳元に顔を寄せているかのような
ねっとりとする声が聞こえた気がした
＿＿この焔にのまれてもなお生きていたら、興味もってやるよ…焔に負けない氷なら俺の役にたちそうだしな
ドクンッと心臓が大きくはねた
全身を恐怖が走り抜け何か分からないが全てを拒絶したかった
パキパキパキ…
＿＿主の害は全て我が全て……
Aの目覚めを待ちわびていた回原は何となくの気配に視線を拳藤から真白いベッドに移す
無意識に漏れた声は友のを呼び、それに釣られるように拳藤も名を呼ぶ
固く閉じられていたオッドアイの瞳がゆっくり開かれてくのをみて拳藤が息を飲んだのが聞こえた。回原自身も喜びに胸が高鳴るのを自覚していたが、待ちわびたその瞳がどこか翳っていることに違和感を感じた
「……A…？」
そう声をかけたのと部屋の温度が一気に下がったのはほぼ同時だった
「「！！」」
パキパキと音を立てAを中心にベッドが凍り出す
グルルルル…
そして聞き慣れぬ獣の唸り声が聞こえたと思ったら
「え、何…こいつ……！」
拳藤の驚く声のその先
Aに跨るようにその宙に浮かぶ氷の姿の獣
それが唸りをあげてこちらを睨みつけてる異様さに
向けられる敵意に回原と拳藤はその場に立ち上がり身構えた
「何、これ……！敵…なわけないよね！」
「当たり前だろ…ここ病院だぞ、それに氷って…」
感じる敵意は本物で
それが自分たちに向けられていて
たけどその獣が守るものは大切な友達で
「どういうことだよ……これっ……！」
寒いはずなのに回原の頬を汗が一筋伝う
Aの敵なのかどうなのか
戦うべきか助けを呼びに行くべきか
突然の出来事すぎて
考えがまとまらない
．
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2023年2月2日 14時
