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「キュイ」
「はぁ…お前のせいでうるさい奴が更にうるさくなったよ」
「キュー？」
ふわりふわりと空を自由に飛び回るAは相澤の呆れたような声に首を傾げそっと彼の伸ばされた両腕に近づく
包帯まみれなその体に触れてもいいのかと一度鼻をひくつかせ、聞こえてきた大丈夫の声にそっと身を任せる
円な瞳で見上げれば柔らかな隻眼とかち合う
消毒の匂いに混じって石鹸のようなどこか安心できる匂いにAは無意識に背を預け身体の力を抜いて寄り添った
「……記憶、ないんだよな…」
「キュー？」
「……」
今ここで個性が使えればAのこの姿が個性によるものなのかどうかハッキリするのにできない自分がもどかしい
更にはAの鳴き声は鳴き声としか聞こえないので今何を言ったのか分からない。都合よく解釈してもいいのだが虚しいだけなのでやめておく。無垢さは変わらないが中身もないその音に少し気分が下がる
何故タブレットを通して移動ができたのか
何故自分の元に来たのか
何故警戒することなく触れさせてくれるのか
「A…」
「キュ」
名を呼べば反応してくれる
相澤の知るAそのものなのか
はたまた違うのか
どうしてそうなってしまったのか
守りたかった存在に守られ
悲しい思いばかりをさせてしまった自分達を
忘れたかったのか、憎んではいないのか
そんなマイナスな感情が溢れそうになってそれを吐き出したくはなくて固く唇を閉じてその柔らかな背を撫でる
前と変わらない柔らかで滑らかな毛並み
気持ちよさそうに目を閉じ今にも寝そうなその姿
落ち着いて考えさせてくれる時間はない
先程の青山の事も来るAFOとの再戦の時に備えやることは山のようにあるのだ
「…俺は相澤消太だ、A。覚えておいてくれ」
でも、もう後回しにはしたくない
どんなに分からなくても愛しいこの子との時間を無駄にしたくない
「会いに来てくれたのか？」
「キュー」
応えるように胸元に顔を擦り付けてくる
それがとても嬉しくて愛おしい
「ありがとうな、俺も…会いたかったよ」
そっと腕の力を強めそのぬくもりを抱きしめる
「…キュ？」
静かな病室
もう少ししたらうるさいのがやってくるだろう
何一つ解決していない
まだまだやることは沢山ある、休んでる暇などない
けれど今この瞬間だけは
「…生きてて、くれてありがとう」
．
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みけいぬこ(プロフ) - ユキさん» ユキ様コメントありがとうございます！私の趣味趣向を盛り込んだお話楽しんでいただけて何よりです！原作に追いつく勢いなのでゆっくり更新ですが楽しんでいただければと思います！ (2023年1月19日 14時) (
レス) id: a23455ed84 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - はじめまして。竜ってかわいい設定だな、と気になり拝見していたところ、気付けば夢中になって一気に読み進めてしまっていました。 (2023年1月14日 9時) (レス) @page50 id: c037b1aedc (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - カンナさん» ご連絡ありがとうございます！リンクミスでした！修正いたしました！ありがとうございます✦ฺ (2022年11月16日 17時) (レス) id: b16ff3489c (このIDを非表示/違反報告)
カンナ(プロフ) - 16話の後から続編になって、”竜の見る夢13”となっています…！何か意図があったのならごめんなさい…。 (2022年11月16日 16時) (レス) id: 8ea5502c44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2022年11月14日 12時
