17 ページ41
大人の言い分は理解出来る
それが正しい事で冷静な判断だということも緑谷は理解していた
だけど胸の内を暴れ回る後悔や悔しさ怒りは簡単には収まってくれない
何故どうしてそんな言葉ばかりが渦を巻く
そして、ここで見捨てていいわけが無い
と、心が叫ぶ
Aが青山の周りを飛び回る
「大丈夫だよ」と鳴いているようにみえるのはそう望んでいるからだろうか
記憶がないはずのAが青山はともかくその両親の周りまで飛び回るのは危険がないんだと訴えてくれているようだった
君も、捕獲対象に入っていたというのに…
「塚内さん」
その様子が都合のいい解釈であってもその希望に縋りたかった
己の言った言葉の正当性を
これからの可能性を摘み取りたくはなかった
「AFOは見つからない、それが今の見方でしょう…？！」
何かに気づいたのか背後で上鳴の声が聞こえた
世界も友も、全て救いたい
何一つ見捨てたくない
それは中心にいる演者だからでも悲劇の主人公だからでもない
友達だから
ヒーローだから
自分だから
「"だからせめて出方を誘導出来たら…！"」
「そっか…！」
クラスの全員が全員、同じ気持ちだから
「見方を変えれば現状ただ1人、青山さんだけが…オールフォーワンを欺くことができるかもしれない！」
驚きの峰田の声に続いて気づいた八百万が言葉を紡ぐ
後手に回るばかりだった自分達の希望の光となりえるということを
「キュイ！」
正解だと言うかのようにAが鳴く
それにこの場に居合わせていたプレゼントマイクが制止の声をあげる
「待て待て待て、ガイズ！飛躍しすぎだ…罪は罪、言いたかねぇけどさ……お前らが一番の被害者だ」
あえて言葉にする優しさ
そうとも見受けられる
プレゼントマイクの言葉にAが抗議の声のような鳴き声を上げて彼の頭上を飛び回りその胸にダイブする
「おっと…A！？暴れんな…！言いたかねぇよ！俺だって…！でもよ、今更信じられるのか？！」
「キュー！」
「信じる信じないじゃねェ！信じたいよ！俺もAも！」
「るい…」
ぼろぼろに頬を涙で濡らしたるいがマイクの言葉に、Aの叫びに木霊するように叫ぶ。それにAはもぞりとマイクの腕を離れて一目散にるいの元に翼を広げてダイブする
「キュー」
「A…ｸﾞｽ…Aは、A組が大好きなんだ…誰一人かけちゃだめなんだ、よ…っ！」
「るいくん」
子供のように泣くるいの頭を飯田がそっと撫でてその背に庇う
全てから守ろうとするように
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 212人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みけいぬこ(プロフ) - ユキさん» ユキ様コメントありがとうございます！私の趣味趣向を盛り込んだお話楽しんでいただけて何よりです！原作に追いつく勢いなのでゆっくり更新ですが楽しんでいただければと思います！ (2023年1月19日 14時) (
レス) id: a23455ed84 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - はじめまして。竜ってかわいい設定だな、と気になり拝見していたところ、気付けば夢中になって一気に読み進めてしまっていました。 (2023年1月14日 9時) (レス) @page50 id: c037b1aedc (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - カンナさん» ご連絡ありがとうございます！リンクミスでした！修正いたしました！ありがとうございます✦ฺ (2022年11月16日 17時) (レス) id: b16ff3489c (このIDを非表示/違反報告)
カンナ(プロフ) - 16話の後から続編になって、”竜の見る夢13”となっています…！何か意図があったのならごめんなさい…。 (2022年11月16日 16時) (レス) id: 8ea5502c44 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2022年11月14日 12時
