14 ページ38
塚内の言葉に青山父が震えながら語る言葉に耳を傾けながら爆豪は感じる視線を片手で優しく掴む
「キュァ…ムム」
顔の部分だろうそこを遠慮なく掴めば途端くぐもった声が聞こえ小さい手だろうそれが指を弱く掴む力を感じる
緊迫したこの空間で一時の安らぎをもたらしてくれるぬくもりに感謝と呆れのため息が漏れる(鷲掴みにしてるその手をどければ済む話なのだがしたくないと思う自分がいる)
「(あったけえ…湯たんぽかよ……)」
指の腹で柔らかな毛を撫でる
そのぬくもりと滑らかさがただただ愛おしかった
「失敗すれば殺される……嘘をついても……」
「どうやって？」
「…………見せられた。そうした人間が処分される様を…」
震えながらそう言葉を紡ぐ姿はとても哀れで弱くて
ただただ胸糞悪いものだった
るいが耐えきれず零した怒りも理解出来ると爆豪は思う
関わりが濃かったわけではないが共に今日まで乗り越えてきたクラスメイトだ
心が痛まないわけではない
何より
「どこにいても居場所がバレる…必ず死に追いやられる……言われた通りにしてどうなるか優雅は知らなかった！ただ勘づかれてはいけないと……悪いのは私たちだ！」
「……」
「キュー？」
弱い者に甘い蜜を吸わせ自分の所有物のように扱い恐怖で縛り付ける。そのせこいゲスなやり口が気に食わなかった
脅威も畏怖も感じていないのに
ただ、私欲のために人を使う
いらなくなればゴミのように捨てる
使えるうちは使う
そのイカれた神経が気に食わなかった
だから使えると思ってるAも使おうとする
奪おうとする
私欲のために……
個性だろうか執着だろうか分からないがどこまでも追いかけてくるという
生まれ変わり記憶をなくしても追いかけてくると言うのだろう
「……もう、渡さねぇよ。ぜってぇな」
「キュー」
「っせー。黙ってろ。A」
腕を解いたAがその澄んだ真紅をまっすぐこちらにむけてくる
目が合ってパチリと一度瞬きするとこてりと首を傾げるからその頬に触れる
途端に擦り寄ってその背を預けてくる
それだけで怒りも也を潜める
怒りの矛先を目の前に向けるのは違うよな、と改める
「自分が殺していたかもしれない人たちと僕は仲間の顔して笑い合った……笑いあえてしまったんだよ…」
そのかもしれない人の中にAはいるのだろう
でも怒りは湧いてこなくて
ボロボロ流す涙をみて、舌打ちが一つ漏れただけだった
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 212人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みけいぬこ(プロフ) - ユキさん» ユキ様コメントありがとうございます！私の趣味趣向を盛り込んだお話楽しんでいただけて何よりです！原作に追いつく勢いなのでゆっくり更新ですが楽しんでいただければと思います！ (2023年1月19日 14時) (
レス) id: a23455ed84 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - はじめまして。竜ってかわいい設定だな、と気になり拝見していたところ、気付けば夢中になって一気に読み進めてしまっていました。 (2023年1月14日 9時) (レス) @page50 id: c037b1aedc (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - カンナさん» ご連絡ありがとうございます！リンクミスでした！修正いたしました！ありがとうございます✦ฺ (2022年11月16日 17時) (レス) id: b16ff3489c (このIDを非表示/違反報告)
カンナ(プロフ) - 16話の後から続編になって、”竜の見る夢13”となっています…！何か意図があったのならごめんなさい…。 (2022年11月16日 16時) (レス) id: 8ea5502c44 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2022年11月14日 12時
