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「…考えてやらなくも、ない」
「ありがとう、嬉しいや」
緑谷の言葉を聞いて、意固地になってた心の氷が溶けた
世界は思っていたほど冷たいものでは無いのかもしれない
少なくともここは、そう思えるように…思ってもいいかなとるいは感じた
素直になれなくてふい、とそっぽをむけば正面から嬉しそうな声が聞こえた
全てを許したわけじゃない
あの日の痛みも苦しみもなくなりはしない
けど、全てが悪いわけじゃないことは理解した
あの状況を作り上げた根源は緑谷たちではない
そう思うことにした
この腕を切り落としたのが誰なのか
あそこまでAを追い込み呪詛を吐いたのが誰なのか、
るいは知っている
この胸の奥底に眠る、Aを傷つけた奴が誰なのか……
「っ……！？……」
そこまで考えて、ふとるいは気が付いた
今まで感じていたAがとても希薄になっていることに
「A……」
「るい、くん…どうしたの……？」
ぺたりと残された手を胸元に寄せる。感じる心臓の鼓動
それとは別に、あるはずのものがあまり辿れない
Aの鼓動が感じられない
「…卵、……」
「え？」
ガバリとるいは緑谷に縋った
悲愴に満ちた表情で焦燥を全身で現して
泣きそうに、震えた声でるいは告げた
「卵！卵はどこだ！Aが、Aが……っ！」
「落ちっ、つ……！えっ？卵……？！」
急に慌てふためくるいに、緑谷の知らない卵の存在に返す言葉がなくて言葉に詰まった
緑谷が一人外に出てる間の出来事だ。卵のことまではまだ緑谷には告げられてなかった
「お願いっ……！卵っ、あれが消えたら本当にAが……！今俺の中のA薄いんだ…！」
まるで世界が消える
そんな絶望に顔色を青ざめさせるるいにただ事ではないと、察した
「おい、落ち着けや」
「「！」」
そこに、静かな声が一つ
「かっ、ちゃん……」
「朝から勝手に何してンだデ、出久。ほんっと一人でなんでもやりたがるなァ」
「いやっこれはたまたまで……！？」
「っせー黙ってろ。おい、るい」
「！ばくご、かつき……」
冷静に、全てを知ってるかのような落ち着き払ったその姿に、何故かるいは安心感を覚えていた
何一つ状況は変わってないのに、彼を視界に入れただけなのに
「卵はちゃんとある…こうなるだろうとは思ったんだ。クソが」
「な、んで……」
「なんでもクソもあるか、来い」
差し出されたその手
拒んできたそれを掴んでもいいのか
「寝坊助、起こすぞ」
その言葉だけで、十分だった
．
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みけいぬこ(プロフ) - ユキさん» ユキ様コメントありがとうございます！私の趣味趣向を盛り込んだお話楽しんでいただけて何よりです！原作に追いつく勢いなのでゆっくり更新ですが楽しんでいただければと思います！ (2023年1月19日 14時) (
レス) id: a23455ed84 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - はじめまして。竜ってかわいい設定だな、と気になり拝見していたところ、気付けば夢中になって一気に読み進めてしまっていました。 (2023年1月14日 9時) (レス) @page50 id: c037b1aedc (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - カンナさん» ご連絡ありがとうございます！リンクミスでした！修正いたしました！ありがとうございます✦ฺ (2022年11月16日 17時) (レス) id: b16ff3489c (このIDを非表示/違反報告)
カンナ(プロフ) - 16話の後から続編になって、”竜の見る夢13”となっています…！何か意図があったのならごめんなさい…。 (2022年11月16日 16時) (レス) id: 8ea5502c44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2022年11月14日 12時
