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「……そうだ」
そう言って手を伸ばしてきた目の前の男の人は、少し笑ったように見えた
「それがてめぇの名前だ。もう忘れンな、A」
反射的に震えた身体
次にくる痛みに耐えようと身構えたけどそんな痛みは何一つこなかった
「(あ……)」
くしゃりと優しく撫でられる感触と鼻腔をくすぐる甘い香り
それが何故か無性に懐かしいとAは感じた
同時に、言われた言葉の意味を考えた
「(……ぼくのなまえ…)」
今日は起きたら知らない場所にいた
随分長い間眠っていたような気がする
冷たい床ではなくふかふかの布団の上にいた
間違えて迷い込んでしまったのかと慌てて机の下に隠れた
大人の人の部屋に間違えて入っちゃったんだろうと、言われたこと以外をしてしまったら怒られると思った
だけど、部屋に入ってきた初めて見るその人は
いつもの人達よりも怖くなかった
「(ばくごう、かつき…)」
「…腹減ってるだろ。下いくぞ」
口の中で先程知った名前を転がす
どこかで、聞いたことがあるような気がする
閉じられていた扉の前に歩いていく背中をぼうっと見つめる
パタリと丸まっていた尻尾が落ちて床を鳴らす
それに気づいてかくるりと振り返り鋭い赤い瞳がこちらを見やる
「…来い」
スンと鼻を鳴らすとまた甘い香りがする
それに引き寄せられる様に自然と足が動いた
初めて会ったのに、この人は怖くない人だと思えた。
＿＿おいで、A。ご飯にしよう
ふと、そんな声が脳裏をよぎる
優しく頬を撫でるその声は誰だっただろう
＿＿…
パタンと扉が閉まる音に爆豪はちらと後ろを見やる。少し後ろに尻尾を抱きしめついてくるAがいる。
どうやら、あの尻尾は隠せないようだ。完全な竜化してる姿か人型しか見たことなかったが昔は混ざってしまっていたのかと思う。完全な竜化をするのにどれくらい練習したのだろうか…さっきの怯えようから考えて上から力で押さえつけられるようなことしかされてなかっただろうに
不安げにぬいぐるみを抱いている幼子の様に見えてしまい、爆豪は不覚にも口元が緩む
覚悟を決めたからか、心中は穏やかで現状を受け入れられていた。知らない過去のAを知れて良かったとも思える
階段を降りているとふと背に足音が聞こえなくて中程で止まり後ろを見やる
…階段の前で立ち止まるAがみてとれた
．
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みけいぬこ(プロフ) - 甘党なタワシさん» コメントありがとうございます！伏線( ˊᵕˋ ;)どう回収しようかと汗汗してます！楽しみにしていただけるの本当に励みになります♡頑張りますっ (2022年4月28日 0時) (
レス) id: b16ff3489c (このIDを非表示/違反報告)
甘党なタワシ(プロフ) - 日頃素敵な作品を拝見させて頂いております。思わぬ伏線回収に心打たれましたありがとうございます。保護者組がどんどん増えてやり取りが可愛いです、更新楽しみにしております！ (2022年4月27日 22時) (レス) @page10 id: 8642bb6031 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2022年4月26日 9時
