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辛くないといえば嘘になる
「……なんで謝ってんだ」
「……っ……」
だけど目を背けてはいけない
大切だからこそ向き合わなきゃいけない
取り戻すために。もう、奪われないために
「……かく、れてたから…」
ぽつりとそう言うAの顔面は蒼白だった
「これから、ビリビリ…しますか……」
「……」
今お前は何を思い何を想像して震えてる？
いつの記憶で止まってる？
そんな疑問、聞かなくてもわかる
カタカタ震える肩
恐怖に歪む表情
研究という名のクソみたいな実験の日々
壊れる前の本当のAが今目の前にいた
肉親に捨てられ独り苦痛に耐える日々の
誰も知らなかったAの過去
どうしようもない怒りが胸中を渦巻く
ギリギリと拳を握り歯を食いしばり堪える
怯えさせてはいけない
今はこの怒りを、沈めろ
そう自分に言い聞かせる
一つ深呼吸をする
何とか心を落ち着け、怯える深紅の瞳をまっすぐ見つめた
「……しねェよ」
その場にしゃがみこみ、Aと目線を合わせる
途端に一歩、後ずさりAの背に机の縁が当たりまた肩を震わせる。こちらを見ると瞳は焦燥が見てとれる
怖いと全身で訴えてる
「…お前名前は」
これがAにとって自分との初対面
自分に危害を加える相手かどうか見定めようとしている
Aの外側にいる…その、内側に入りてェんだ
「…ひけんたいばんごう0427」
「ちげぇよ」
実験動物みたいなクソみたいな名前じゃない
本当のお前の名前をもう一度…
「俺は爆豪勝己だ。お前にもあんだろ、名前。教えろ」
思い出せ、少しずつ
お前はそんなクソみたいな被検体なんかじゃない
「……むそうじ、A…です」
「！」
爆豪の言葉に、その言葉の意味を理解しようとしばらく固まっていたAだったが恐る恐る、そう言ってぺこりと一度お辞儀をした
それは初めて教室で会った日を彷彿とさせる
無意識なのだろうが
その行動は、爆豪の知るAと今のAを繋げる
大切なピースであった
「……そうだ」
思わず緩みそうになる口許を片手で隠し、もう片方の手をAの頭に乗せる。途端びくつくが構わずくしゃりと優しく髪を撫ぜる
「それがてめぇの名前だ。もう忘れンな、A」
「……」
爆豪はもう迷うことを辞めた
．
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みけいぬこ(プロフ) - 甘党なタワシさん» コメントありがとうございます！伏線( ˊᵕˋ ;)どう回収しようかと汗汗してます！楽しみにしていただけるの本当に励みになります♡頑張りますっ (2022年4月28日 0時) (
レス) id: b16ff3489c (このIDを非表示/違反報告)
甘党なタワシ(プロフ) - 日頃素敵な作品を拝見させて頂いております。思わぬ伏線回収に心打たれましたありがとうございます。保護者組がどんどん増えてやり取りが可愛いです、更新楽しみにしております！ (2022年4月27日 22時) (レス) @page10 id: 8642bb6031 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2022年4月26日 9時
