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トントントンと足音を鳴らし階段を上がる。平静を装って爆豪の内心はやや不安と緊張が蠢いていた。階段を上がってすぐの扉、つい最近自室となったその部屋にはAがいる。緑谷とのケンカを相澤に叱られた後言われた、ようやく目を覚ましたAを託すという言葉。
何を思っての事なのか(謹慎で四六時中見てられるからというのはあると思っている)目覚めてすぐのAを生徒に預けるなんて、、と思う反面任せてもらえたのが嬉しくもあり…やはり緊張する
一応、リカバリーガールの診察は受けているらしく、昨日の時点だと目覚めたばかりで脳が働いてないという事だった。だから、今日Aの記憶がどんなものかがハッキリする
覚えているのか
忘れているのか
「(……どっちだとしても)」
扉の前、ドアノブに手をかざして爆豪は目を瞑り一つ深呼吸をする
珍しく激しく脈打つ心臓の鼓動がうるさい
「(関係ねぇ……やることは変わらねえだろうが)」
例え全て忘れていても
またやり直せばいいだけだ
もう失わないために
ガチャリと意を決して扉を開ける
「……」
扉を開いてまず目に入るベッド
そこに膨らみはなかった
パッと見どこにもいないようにみえた
少しずらした先、椅子が引かれ机の下に白いものが見えた
ゆっくりとした足取りで爆豪は部屋に入り机の前、引かれた椅子の隣に移動する
この時点で色々決心がついた
隠れきれてない白い尻尾は微かに震えていた
その場にしゃがみこむ。途端に聞こえる息を飲む声
「あ……」
「……」
澄んだ無垢な真紅の瞳
恐怖に揺れる瞳を向けられる日が来るとは少し前の自分だったら想像もしなかっただろう
普段からやや下がり眉なのがより一層下がり悲壮感に染まった表情
その瞳に無表情の自分が映っていた
人型の姿に白い尻尾が生えてるような風貌
今まで見たことない姿だが、目の前にいるのは紛れもないAであった
「……ご、ごめんなさい…」
声を聞くのはあの神野以来だ
第一声が謝罪とは…
淡く描いていた期待はこれで完全に消え失せた
Aの記憶の中に自分はいない
もぞもぞと机の下から潜り出てきてAは少し爆豪から距離を取るように立ち上がる。白い尻尾を丸め胸元で両手で抱くように持ち俯く姿は完全に爆豪を怖がっていた
尻尾を抱く指の先が震えていた
．
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みけいぬこ(プロフ) - 甘党なタワシさん» コメントありがとうございます！伏線( ˊᵕˋ ;)どう回収しようかと汗汗してます！楽しみにしていただけるの本当に励みになります♡頑張りますっ (2022年4月28日 0時) (
レス) id: b16ff3489c (このIDを非表示/違反報告)
甘党なタワシ(プロフ) - 日頃素敵な作品を拝見させて頂いております。思わぬ伏線回収に心打たれましたありがとうございます。保護者組がどんどん増えてやり取りが可愛いです、更新楽しみにしております！ (2022年4月27日 22時) (レス) @page10 id: 8642bb6031 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2022年4月26日 9時
