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＿＿…
「……」
静かな室内にカーテンをさらう風の音が小さく鼓膜を揺らす。ひぐらしが夕暮れを告げその存在を主張するかのように鳴き続けている。橙に染まった室内はどことなく優しく穏やかな印象を受けるが、爆豪の気分が晴れることはない。今日も今日とて変わらない世界に、その世界の中心で眠り続けるAの頬にそっと手を伸ばす
あの日よりもあたたかいそれに反射的に安堵が芽生える
だがそれもすぐ言いようのない苦しみに変わり胸を締めつける
穏やかな顔で寝息を立てコンコンと眠り続けるA
いつ起きてもいいはずなのにその目が開くことはない
起きてほしいと思う自分と
起きてほしくないと思う自分がいるのもまた事実
＿＿A！起きてんだろっ！止めろ！！
最後にAの瞳をみたのはあの日
いつも通りの無垢な瞳だったが、その瞳に自分は全く写っていなかった
何一つ止められず、ただ倒れゆく小さな体を抱きとめることしかできなかった
「……くそっ、うぜぇ……」
何も出来なかった自分も
静止も何もかも聞かず勝手にやってくたばってるAも
勝手な理想でAを弄り回したくそ野郎共も
小さな体に負担を全て背負わせてしまったあの日も
情けひとつかけてくれない無情な世界も
何もかもがうざかった
＿＿ばくごー
耳を震わすその声は幻聴
頭では理解出来てるのに
何度も何度も鼓膜を揺らす
女々しくその声に縋ってるようではないか
「……早く起きろよ」
さらりと痛みひとつない白髪に指を絡める。柔らかいそれは爆豪の指を簡単にすり抜け枕に散っていく。もうそれを何回しているのだろう。本当はここはリカバリーガールと一部のプロヒーローを除いて立ち入り禁止になっている。もちろん生徒は入れない。何だかんだ甘い相澤が爆豪だけはここの出入りを黙認してくれている
家庭訪問のあの日、無理矢理ついて行った病院で
爆豪はAの身に起きていた事をあらまし聞くことができた
Aの怪我が何一つ残ってないこと
だけど失血量が多く危険な状態だったこと
頭の中に個性によるチップが埋め込まれていてそれがAの何もかもを操れる危険なものだったこと
そして、それの摘出手術を行い、脳になんらかの後遺症として記憶がなくなる可能性があること
ギリと爆豪は拳を握る抑えられない感情を吐き出すように目の前の真白いシーツに拳を叩きつける
何度も何度も、
それを咎めるものは誰もいない
．
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みけいぬこ(プロフ) - 甘党なタワシさん» コメントありがとうございます！伏線( ˊᵕˋ ;)どう回収しようかと汗汗してます！楽しみにしていただけるの本当に励みになります♡頑張りますっ (2022年4月28日 0時) (
レス) id: b16ff3489c (このIDを非表示/違反報告)
甘党なタワシ(プロフ) - 日頃素敵な作品を拝見させて頂いております。思わぬ伏線回収に心打たれましたありがとうございます。保護者組がどんどん増えてやり取りが可愛いです、更新楽しみにしております！ (2022年4月27日 22時) (レス) @page10 id: 8642bb6031 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2022年4月26日 9時
