15 ページ4
「くそ、止まれ……っ止まりやがれってんだよ！！」
「……」
スンと鼻腔をくすぐる甘い匂い
嗅いだことあるその匂いとぬくもり
誰だったっけ？と考える
ピリピリとズキズキと頭が痛む
なんだったっけ？あぁ、誰だったっけ……
甘い匂いが忘れてもすぐ考えていたことを思い出させてくれる
忘れちゃいけない事だった……はずなんだ
ぽろぽろ頬を流れる何かがくすぐったい
だんだんと感覚が鋭くなってくる気がする
虚ろだった視界にちらちら見えるしろっぽい何か
頬を滑る大きな手
この手のぬくもりを僕は知っている
「(ばく、ご……)」
パリパリと音が鳴る
それでも構わないと思った
「(ばくご、が…こまってる……)」
止まれと必死に叫んでいる
止めてあげなきゃ…
「！A……」
オールマイトとオールフォーワンの尋常ではない攻防の余波で今にも身体が吹っ飛びそうになる。なんとか堪え爆豪は離すまいと必死に掴んでいるAを見やる。血が止まらない、意識が戻らない。このままじゃ…という最悪の結末が脳裏を過り背筋が凍る
ここから離脱もしなきゃいけないとか思考をフル回転させているとパリパリと微かに音が聞こえる。それは手元のAからで僅かに発光していた。これは見覚えがある…体育祭でみたものだ、と
「A……！」
相変わらず瞳は虚ろで涙を流している。だが発光し始めた事でAの身体に変化が現れた
「(傷が、塞がってく……！？)」
無数にあった傷が目に見えて塞がってくいく。どういうことだと驚いていると光が強くなり己までも包み始める。それは傍にいるベストジーニストにまで及びほのかにあたたかいものだった
「(！なんだ、これ……)」
ふと、自分の腕を見るとついさっきついたかすり傷が見る見るうちに修復していく。どういうことだと思っているとAの纏う光は強くなり同時にパリパリと音を立てていたプラズマも比例して激しさを増す。それが僅かに痺れを感じるようになる
「おいっA！もうやめろ！」
「かはっ…」
「！！？A、ﾁｯ……暴走かよ……！」
身体の傷が塞がったのに口から吐血するAに個性の暴走だと察する。意識がなかったはずなのに何がきっかけで発動したのか。体育祭の時は声をかけてやることで意識をこちらに向けることで収まった。しかし意識がない今どうしたらいいかわからなかった
不甲斐なくもただ強く抱きしめることしかできなかった
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 663人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みけいぬこ(プロフ) - 甘党なタワシさん» コメントありがとうございます！伏線( ˊᵕˋ ;)どう回収しようかと汗汗してます！楽しみにしていただけるの本当に励みになります♡頑張りますっ (2022年4月28日 0時) (
レス) id: b16ff3489c (このIDを非表示/違反報告)
甘党なタワシ(プロフ) - 日頃素敵な作品を拝見させて頂いております。思わぬ伏線回収に心打たれましたありがとうございます。保護者組がどんどん増えてやり取りが可愛いです、更新楽しみにしております！ (2022年4月27日 22時) (レス) @page10 id: 8642bb6031 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2022年4月26日 9時
