仔竜、夢をみる ページ25
ふわふわ
ふわふわ
ここはどこだろう…
「むかしむかしあるところに、ちいさなむらがありました」
1人の幼い少年が見知らぬ部屋で絵本を読んでいる
聞き覚えのあるようなないような、その子は楽しそうにわくわくとした顔で絵本を食い入るように見つめている
「そのむらのかわのほとりでいっぴきのしろい竜がうまれました。わぁきれいだね、かわいいね」
絵本の挿絵にはくりっとした赤い眼に真っ白な竜
少年はそっと指を這わせて絵本の竜を指さしきれい、と言葉をもらす。ページをめくると村の人達に優しく迎えられる竜の絵、次のページには村の少年と手を繋ぐ竜の絵。どのページを開いても竜は村の人と一緒に仲良く暮らしていた
「いいなぁ、竜はみんなといっしょにいられるんだね」
ぽつりと少年はそう言葉をもらす。少年のいる部屋には少年ただ一人。カーテンは締切照明の灯りだけが輝きおもちゃはあるけど少年が手に取らない限り動きもしない
「えがお、たくさん…いいなあ」
最初は羨ましかった
絵本の中の白い竜がたくさんの人に囲まれているのが
ぎゅっと抱きしめてもらって笑いあっているのが
淡い光を伴い少年の姿が変わっていく
頭に小さな角が生え
長いしっぽと小さな翼が生える
赤い瞳はより一層大きくなり無垢な輝きで絵本を見つめる
＿＿この竜みたいになれたら、おともだちができるかな
＿＿おかあさんもよろこんでくれるかな
はじまりは、一冊の絵本からだった
「Aー、お昼ご飯の時間よー…！！ﾋｯ……！」
「おかあさーん！」
「あっ……！こ、こないでぇ！！！？」
ただ、1人が寂しかった
静かな部屋には自分と母親だけ
あまりお外に連れてってもらえない
遊び相手はぬいぐるみと絵本
たくさんの人とたくさんの友達と
楽しく遊ぶのが夢だった
少し、それを望んでみた、だけだったはずなのに
「お願いっ…来ないで…いやっ！！」
「おかあさん…」
「あっちいってええ！！」
優しかったお母さんが泣いて拒絶する
近寄ると来ないでと物を投げて拒絶する
何か、いけないことをしてしまったのだろうか
「ごめんなさい、そばにいかない…いかないよ」
大好きなお母さんが困ってるから
僕は隠れる
かくれんぼ、見つからないように、困らせないように
．
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みけいぬこ(プロフ) - 甘党なタワシさん» コメントありがとうございます！伏線( ˊᵕˋ ;)どう回収しようかと汗汗してます！楽しみにしていただけるの本当に励みになります♡頑張りますっ (2022年4月28日 0時) (
レス) id: b16ff3489c (このIDを非表示/違反報告)
甘党なタワシ(プロフ) - 日頃素敵な作品を拝見させて頂いております。思わぬ伏線回収に心打たれましたありがとうございます。保護者組がどんどん増えてやり取りが可愛いです、更新楽しみにしております！ (2022年4月27日 22時) (レス) @page10 id: 8642bb6031 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2022年4月26日 9時
