【イベント】 ページ2
私は夢の中。
ゆらゆらゆれる。身体が重い。思考が滲む。ノイズが聞こえる。熱気が肌に触れ、喧騒の中にいることに気が付いた。
突如体を劈くような衝撃が走る。遅れて横腹から響く痛み、痛み痛み痛み。
うめき声を上げて私は重い瞼を開いた。
「起きたんか」
目の前いっぱいに広がる顔、それは見知った人のものだった。それは、それは、幼馴染の。
「あー…何?どげぇしたん?」
「どげぇしたんや無いねん、頭起動させろ。ついでに立て、踏まれても知らんぞ」
幼馴染故に地元の方言で問い掛けるもその鋭い目をさらにきつくして眉を寄せられただけであった。
彼の言う通り仕方なくぼんやりした頭を覚醒させていく。痛む脇腹を抑えながらゆっくりと立ち上がる。矢張り周りは大勢の人が居て、ごった返していた。狂乱と混乱の気配。彼らは好きで集まっているわけではないようだ。
それは私も同じ、人の群れで見えないがここはどうやら見知らぬ場所の様。どうしたもんか。
「タツキ、お前ここに居る奴らの規則性分かるか」
「たりめーだボケ、舐めんな。俺らは何らかのゲームの中に居る。そのゲームは……#コンパス。テメェお知らせとか読まんやろ、それに書いとった。」
「読まんな、めんどくせぇし」
なる程な、何らかの要因で#コンパスの中にいる、否、意図的に集められたのか。なら共通性はコンパスをやっている、ということか。
「お知らせにはなんて書いてあったんよ」
「あ?今度のイベントはプレイヤー参加型かなんかそんなのが書いてあった。言っとくが俺ぁ頭悪いからこれ以上わかんねぇぞ」
「それだけありゃ分かる」
周りの人の特徴は武器や防具などがないということ。そして、特に全員が全員強そうだとかそういうのがないこと。ひょろっちいのから鍛えてそうなのまで色々なやつがいる。ということはバトルロワイヤルって訳では無さそうだ。
そして一番肝心なのはプレイヤー参加型、というところ。プレイヤーが参加するならキャラもいる訳だ。……嗚呼、分かったぞ。
頭の中の暗雲が晴れた頃、ポケットの中に重みを感じた。それと同時に目の前に電子画面のようなものが現れる。
《これからプレイヤー参加型イベントを開催します。プレイヤーは#コンパスのキャラから逃げてください。キルされたら捕まったと認識します。アビリティとしてカードを四枚贈呈しました。頑張ってください。》
「命懸けの、鬼ごっこだ。」
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作者名:碧靄朱雀 | 作成日時:2018年8月18日 17時