壱／遮られた友情 ページ3
葉桜が、広い中庭で揺れている。
春にはあんなにも華麗な花を咲かせるというのに、夏にはこんなに淡白な葉樹へと衣替えしてしまう桜の木。
私はそれを、縁側に腰掛け、ただただぼんやりと眺めていた。
(……することが、ない)
簡単に言ってしまえば、暇だった。
なんとなく、
当然だけど、何も掴めない。
空っぽの手のひらを見つめながら、はぁ、と小さな溜息を零せば、それを隠すように涼風が葉桜を揺らした。
私には、執務が与えられていない。
普通、十八歳を迎えた王族は執務を担うようになる。
二十歳、遅くても二十二歳には完璧にこなすことが出来るようになるために。
それなのに、私には書類整理すらも任せてくれなかった。
それは、決して「私が使えないから」とかそういう理由ではなくて。
その主な理由はーー
「何をしているんだ、A」
ーーこの人に、あった。
「お父様……」
慌てて立ち上がり、縁側から座敷の中に入る。
慌て過ぎて縁側の縁に膝をぶつけてしまったけれど、この際そんなことはどうでもいい。
膝の痛みに耐えながら、私はお父様に向き直った。
私をじっと見つめるお父様の瞳に、その場に縛り付けられてしまう。
「外に出るなと、あれほど言っているだろう」
冷え切った、光のない暗い瞳。
見つめていると凍ってしまいそうな錯覚さえ覚え、私は静かに視線を逸らした。
「……すみま、せん……」
そんな私を、お父様は焦点の合っていない目で見つめる。
お父様のこの目は苦手だ。
私を見ているはずなのに、私ではない誰かを見ているような。
私に「あの人」を重ねている、虚空の瞳が。
心底苦手で、嫌いだ。
「もし、何かあったらどうするんだ」
口をつぐみ、目を伏せる私に降ってくる責める響きを孕んだ言葉。
その言葉に、少しずつ不穏な空気が混じり始める。
「もし何かあったら……
「……っ、お父様……」
「桜子……桜子……すまない、桜子っ……」
「桜子」は、
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ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！ (2020年7月11日 23時) (
レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
あういえお - ぐへへ...((え、すげー...みんな言葉使いが...おしとやか...(?) (2019年7月25日 14時) (レス) id: 473868f78a (このIDを非表示/違反報告)
もうふ - きゃぁぁぁぁ(( 好き。(笑) (2019年7月23日 22時) (レス) id: bc132d7752 (このIDを非表示/違反報告)
狐 - 続きがきになる・・・更新頑張ってください！ (2019年7月22日 20時) (レス) id: 7ea13ff707 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - すんばらしい！更新頑張ってくださいねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！ (2019年7月22日 14時) (レス) id: 473868f78a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星奈 ふゆ | 作成日時：2019年7月21日 16時
