俺よりも ページ8
(SC side)
HS「だからそこ遅れてるんだって！」
練習室に響くホシの声。
授賞式本番が迫っているため、緊張感が漂っていた。
ホシが言葉を投げかけたのはスングァン。
振りを覚えるのが早いあの子が、今日はなんだか調子が悪い様だった。
自分でもタイミングが合ってないのが分かっているからか、スングァンは悔しそうな表情だった。
SG「す、すみません」
HS「本番近いの分かってる？いつも応援してくれるCaratも、尊敬してくれる後輩もみんな見るのに」
SG「っ、」
やばい。
雰囲気がだんだん良くない方に流れていってる。
ホシの焦りや責任感も分かるし、スングァンもミスを認めてる。
スングァンの指が固く握られて、爪が食い込んでる。
俺が声をかけようとしたその時だった。
『えいっ』
HS「は、っ」
SC「え」
ノエルがホシに膝カックンを仕掛けた。
俺まで間抜けな声が出た。
HS「…おちょくってんの？ヒョ」
『えいっ』
HS「いたっ」
『ふん！』
HS「いっ！！」
膝カックンの次はデコピンとチョップ。
微妙な雰囲気が練習室を覆い、みんな目を白黒させている。
もちろん俺も。
『ホシヤ、ちょっと外出て夜風に当たってきなよ。ふかーーーい深呼吸しておいで』
HS「何言って、」
『いいから、ほら』
ノエルがホシの背中を練習室のドアの外まで押しだす。
パタンとドアが閉まると、ノエルはくるりと振り返ってパンパンと手を叩いた。
『みんな休憩しよう、もう3時間半も踊ってるし』
時計を見ると、確かに前回の休憩から随分踊っていた様だった。
ウジが何も言わずに練習室を出ていく。
ホシの様子を見に行ったのだろう。
その他のメンバーたちも、飲み物を片手に一息付き始めた。
スングァンに目を向けると、まだ拳は固く握られたままだった。
『スングァニ、大丈夫だから力抜いてごらん』
SG「っ、ヒョン、僕」
『ほら手。せっかく綺麗にしてるのに傷付いたら大変だよ』
ノエルがスングァンの指を1本ずつ解いていく。
解かれた指に赤黒い爪の痕が痛々しく刻まれていた。
……俺、こんなに動けない奴だったっけ。
座り込んで堰を切ったように涙を流すスングァンを見て、ふとそう思った。
ぽん、と誰かに背中を軽く叩かれる。
JH「お前もホシの様子見てきてよ。こっちは平気だから」
SC「、うん」
ノエルもジョンハナも、俺よりずっと頼りになる。
変なとこですが字数が足りないので次いきます！
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作者名：おでこ x他2人 | 作成日時：2023年3月12日 10時
