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《契約する》
ペラッと紙を一枚捲る。
とりあえず契約書と言って渡された紙の束の内容を読むことにした。
「おや?しっかり目を通すんですね〜?てっきり面倒だからとさっさとサインしてしまうのかと。」
「こういうのは粗を探してからじゃないと。無茶な契約を交わすのは身を滅ぼす結果になるからね。そもそも契約は互いの意思が合致していないと結べるもんじゃない。そっちの意見を尊重する代わりに、こっちの意見も尊重してもらわないと困るんだよね。」
「おやおや……信用できない上司を持つと、人間はこうも用心深くなってしまうものなのですねぇ?オレちゃんには理解出来ません。何も考えずにサインしちゃった方が貴方のスタンスである『なるべく楽をする』を貫けると思うのですが?」
悪魔の囁き__否、悪魔の独り言を無視して黙々と契約書に目を通す。
やはり気になる部分は結構あった。
「ねぇ、契約書のここ、『録画・録音した証拠データは全て使用を許可する』ってあるけどさ、全ては嫌だ。」
「何故です?」
「動画や音声の中には自分にとって不利になる物もあるからだね。上司への暴言とか仕事のサボりとか。」
「なるほど!カカカ!ここまで来るといっそ清々しいですねぇ!いっその事その性格も含めて全て晒してみては?」
「なら契約は無かったことにするね。」
「うーん……まぁ、分かりました。鬼ヤバな動画を作る為には仕方ないですね。証拠映像や録音は貴方に許可を得た物のみの使用とさせていただきます。」
それなら良い。と、契約書に変更を付けたところで更に資料に目を通す。
その間ブラックという男は焦る様子も何も無く、ただただこちらが満足するまで待っていた。
それどころかこちらが書類を読み進めれば読み進める程にやにやと笑みが深くなっていくばかりだ。
とてつもなく怪しい……きっと何処かに自分に不利な部分が隠されているに違いない。
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10590000(プロフ) - 応援してます。頑張ってください!続き待ってます。 (2021年4月10日 20時) (レス) id: 5d88188efd (このIDを非表示/違反報告)
池百(プロフ) - 鈴さん» コメントありがとうございます。励みになります。ブラックチャンネルの舞台が学校や友達に関する事が多いのでそれに反発(?)した結果こんな事に…ですが面白いと言ってもらえてとても嬉しいです!ホッとしました…(´°ω°`) (2021年3月15日 5時) (レス) id: 5b21d24280 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - なんでしょう、ものすごくスカッとしました。内容も面白かったし、続きを楽しみにしています。 (2021年3月11日 21時) (レス) id: 38063781d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:池百 | 作成日時:2021年2月27日 7時