希-2 (ページ20)

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MK「家族はAがここにいること知ってる？」

A「ううん、知らない」

MK「喧嘩でもした？」

A「喧嘩はしてないんだけど…」

MK「そっか」

さっき会ったばかりの人にどう話せばいいかわからなくて、それを感じとってくれたのかオッパが話し始めた

MK「僕ね、悩んだり自分のやりたいことがわからくなったりしたらいつもここに来るんだ

ここでお祈りして、さっきみたいに歌うと頭の中のごちゃごちゃしたものが全部すっきりするんだ」

A「歌、すごく上手だった…」

MK「ほんと？嬉しいな」

そう言ってニコニコしてるオッパは本当に歌うことが好きってことが伝わってくる

A「好きなの？歌うこと」

MK「そうだよ

僕は仲間とずっと一緒に歌って、僕の歌を聞きたいって思ってくれている人たちに歌を届け続けることが夢なんだ」

楽しそうに、それでいて覚悟を持った表情で夢を語る姿はかっこよかった

MK「Aは？やりたいこととか夢とかある？」

A「夢か…」

最近は考えることもなくなった

本当は手術で治せない病気だった

移植を待っていたけれど、それもすぐに適合する臓器が1番でまわってくるなんて奇跡

今生きてることも奇跡だと思う

明日の手術は先生たちが考えて考えて見つけてくれた術式だって言ってた

A「私ね、夢を持つことを辞めたの」

MK「…どうして？」

A「叶わなかったらつらいもん」

MK「…」

A「前は将来の夢もあったし、したいこととか行きたいとこもあったけど、希望が見えた分叶わないことがわかった時、つらさも同じだけ感じる

だから…」

ってこんなこと、、、

A「こんなこと、、夢を持ってる人の前で言うことじゃなかった… ごめんなさい」

MK「いや、、僕こそ… ごめん」

A「ううん
逃げたかっただけなんだ

私のために頑張ってくれる人がいるのに、上手くいかない度につらそうな、悔しそうな顔をするのを見たくなくて逃げたの
先生たちは私のために今回も頑張ってくれてるのに…」

MK「そっか…

きっと、1回なんかじゃないよな

そう思うまで何度も、何度も頑張ったんだよな」

えらいねって言って、大きくて温かい手で雪で少し濡れた頭を撫でてくれた

心が温かくなって、視界がぼやけて、頬にぽたぽたって涙がこぼれた

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