希 (ページ20)

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昔の手術で胸に痕が残っているAは、それをよく思ってはいなかった

「先生や看護師さんたちが頑張ってくれた証、私も頑張った証」

でも綺麗な身体じゃないからって

PK「これから病室には一切刃物やそういった類いのものはおかないから、自分を傷つけることはなくなると思う

でも、包帯を見てAちゃんがどう感じるか、心に悪影響を及ぼす可能性の方が大きいしね

包帯を外したら傷が見えるだろうから、それを見てまた何かを思うかもしれない

正直な話、心の治療は身体の治療より何倍も時間がかかる

もちろん僕たちもできる限りことはするし、Aちゃんがよければ心療内科の先生にも今後面談をしてもらう

でも最後は本人がどう乗り切るかなんだ」

本人がどう乗り切るか、か

MK「先生、僕がAに会うことはAにとって負担になりますかね…」

PK「そうだな…きっかけがきっかけだから、負担にならないとはいいきれない」

MK「そうですよね…」

PK「でも、根本的に乗り切るためにはマークくんと会わせないっていう選択肢は僕にはないよ

もちろんAちゃんは苦しい思いをするだろうし、それを目の当たりにするマークくんもつらいとは思う

でも僕は一時的な苦しみより将来の幸せを取るべきだと思うよ 2人が会わなくなって、より苦しみがのびるより、今2人で乗り越える方がいい」

MK「2人で乗り越える…」

PK「できるかい？」

MK「できます何ヶ月、何年かかってもやってみせます」

PK「君ならそう言うと思ったよでも無理はするな Aちゃんにとってマークくんが仕事を疎かにする方がきっと負担だと思うから」

MK「わかりました先生、よろしくお願いします」

PK「こちらこそ今夜は夜勤だから、何かあったらいつでも呼んでじゃ」

MK「はい本当にありがとうございます」

もう少しで夕方になる頃

外は晴れて夕焼けが綺麗なのに、この部屋だけは雨が降りそうな曇りの日

そんな雰囲気が漂っていた

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