＊*57*＊ ページ27
「風呂入る？」
和也「イヤ…あの…その…」
「なに？」
和也「ごっ、ごめっ、ごめんなさい…」
「別に怒ってない」
.
ウソをひとつ、吐いた。
.
和也「怒ってる」
「……ちがう」
.
自分でも分からないの。
違う、連絡取れなかったこととか、夜遅くに出歩いてたことじゃない。
.
.
この気持ちは____。この感情の名前は何と呼ぶのでしょうか？
.
「イライラする」
和也「……」
「私のことが好きだったんじゃないの……」
和也「…え…」
「なんで北澤さんと居たの…」
.
何言ってるんだろう、私。
こんなこと言ったって全部、全部。無駄なのに。
.
ああ。もう。どうでもいい。
どうにでもなれ。
.
「この。モヤモヤした、この気持ちは…何なの」
和也「……………それって」
「バカみたい！なんで？なんで私！あんたのこと！離れないの！」
.
和也「馬鹿だね」
「………は」
和也「先生、やっぱ馬鹿だわ！」
「私、怒って……」
和也「俺に恋するとかバッカじゃねぇの」
.
こい？コイ？…濃い？来い？故意？鯉？
.
恋！？
.
和也「俺のこと好きになったら厄介って知ってた？」
「……ちがう、恋なんかじゃない」
和也「ふぅん？じゃあ凛菜と毎日毎日…」
「やだ！！！！」
和也「矛盾だよ？………オバサン」
「ちがうの。こんなこと…だって…わたし…」
和也「俺は貴女が好き、貴女も俺が好き？」
.
.
翔くんと居ると。ずっと笑顔で居られるの。
ずっと幸せ、苦しくなんかない。
カズナリと居ると。ずっと苦しいの。
胸の奥が苦しくて。幸せなんかじゃない。
.
だけど。
.
.
「すき」
和也「………へ」
「和也が好き」
.
.
私も恋の魔法にかかっちゃってた
.
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