＊*53*＊ ページ23
【Side.Makoto】
.
この空気は最悪だった
.
いつもは進みの早い筈の時計はチクタク、とゆっくり進む。
保健室のテーブルに翔くん、A、私。
翔くんはイライラしててビンボー揺すりが止まることをない。Aは今にも泣きそうで必死に唇を噛んでいる
.
翔「…誰から北澤が帰ってないって電話あったの」
真琴「北澤さんのお父さん」
翔「…あの人、家に居ないんじゃ」
真琴「今日、北澤さんの誕生日だったって」
翔「………」
真琴「頑張って早く帰ってきたら娘が不在、しかも連絡も通じないからって連絡が来た」
.
.
凛菜『私ね、愛されてないの。先生』
いつか彼女が保健室に来た時そう言っていた
.
”そんなことないでしょう”って笑い飛ばしたけど。きっと彼女は寂しさに溺れていた
.
翔「北澤はなーんも言わねえから」
「…」
翔「抱えてることも、その大きさも見せてくれないから俺は手を差し伸べても空回りしちゃう」
.
.
翔「あいつを助けたい、ってこっちが一方的に思ってもあいつ自身も手を差し伸べてくれないと掴みきれない」
.
「ちがう」
たぶん保健室に入って初めてくらいに程近く、Aが口を開く
「北澤さん、ずっと翔くんに手を差し伸べてる」
翔「…」
「でもそれがまだ短いだけ。恥ずかしかったり、いろんな思いで」
翔「……」
「だから翔くんは諦めずに手を差し伸べ続けなきゃね」
.
教師がこんなに生徒に一生懸命になってる姿、近年であまり見られない、ってニュースになってたりもする
だけど
私の周りにいる教師はみんなそんな教師じゃない
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 551人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
