サザンカ2 (ページ9)

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痛くて、辛くてページ9

花斗side

無理やり、部屋から連れ出され

俺は椅子に座らされた。

せっかく全てを忘れようとしていたのに、邪魔されて不機嫌になった。

『部屋に篭りっぱなしだと、元気出ないだろ？』

分からない。

一体、兄ちゃんは何を......

『花斗、これ好きだったよな。』

言葉が出なかった。

俺の目の前に出されたそれは、暖かくて美味しそうな豚カツだった。

ホカホカのご飯と味噌汁もある。

小さい頃、何度も兄ちゃんに作ってもらった。

...お母さんの得意料理だった。

『...俺には、こんなことしか出来ないから。最後まで、応援してるよ。』

彼は、励ますように俺の肩を叩いた。

苛立ちと怒りが、俺を満たす。

こんなことしか出来ないだって？

応援してるだって？

なんで。

なんで、そんな簡単に言えるんだよ！！

感情に任せて、俺は。

ーーー兄の料理を、ぶち壊した。

ガシャン！と大きな音を立てて皿が落ちる。

ぐちゃぐちゃになってしまった料理。

無残に、床に散らばって、原型を留めていなかった。

あ......

...何やってるんだ？

何やってんだよ、俺は！

こんなの、ただの八つ当たりじゃないか...！！

どうしよう...なんて謝ればいい...

せっかく兄ちゃんが、作ってくれたのに...！

後ろに立っている兄の視線が、痛いほど伝わってくる。

その場の空気が辛すぎて、耐えられなくて、

「ごめん」の一言も言えずに、自分の部屋に逃げ込んだ。